女子自転車競技部に入れなかった私はしぶしぶ男子自転車競技部の入部を決意しました。

負けない ページ12

校門前に一年生が並び、不思議と少し威圧的な空気を放っている

それもそのはず
箱学自転車部は王者、王者の一員、つまりはレギュラーになりたくて全国各地の中学から集まってくる者も多い
誰にも負けじと威圧感を放つ者もいれば、緊張感に負けそうな者もいる

貴「こういう空気、好きだなぁ……」

福富さんが前に出てパンパンと合図を鳴らす
少しだけざわついていた周りがシンと静まり返った

福「今から一年生レースを始める。予定を伝えなかったのは、常に王者たる、或いは王者になるという自覚を持って行動してもらいたいからだ。それではコースを説明する」

コースは国道一号線を小田原方向に下って湯元大橋で折り返し、旧国道一号線を登って学校まで戻る……

……完璧にクライマーの為のコース……

嫌がらせだ!!

いや、何か思惑があったり……
そう考えておこう……

クライムコースって事は真波くん、喜んでるのかな……
というかこれに出るのかさえ不安だ……

ま、後で見つければいいか

そよそよと風が優しく吹く
これは………

貴･真「西風だ……」

声が被った
被った相手は真波くん
どうやら近くにいたらしい

真「あれ?Aちゃんも出るの?」

貴「うん。マネという事にはなっているけれど、こういうのには参加したいじゃない?そうしないと鈍りそうだし」

真「そうなんだ……Aちゃん、自転車に乗ると雰囲気変わるね」

貴「そう?」

普通だと思うんだけどなー……

貴「あ、真波くん。1つ言っておきたい事がある」

真「なに?」

貴「今日のコースがクライマーの為のコースで、僕に不利なものだとしても……負けないよ」

真波くんは目をパチクリとさせてからフフンと笑った

真「うん、俺も……負けないよ」

もし僕が男だったら……真波くんといいライバルになれたのだろうか

スプリンターとクライマー

それぞれ役割は違えど、才能の種類が違えど
それぞれ実力を高めあって、争っていたのかな……

貴「なーんて」

気合いを入れるために頬を叩く

よし

福「スタート！」

絶対に負けない

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