【JK】ひと夏の泡沫

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【JKside】




大学生活が始まってすぐの頃だった。



4月、高校まで自転車通学だった俺は
大学生になって初めて電車通学するようになった。


元々人見知りだからというのもあるけど
嫌でも視線を集めてしまうこの憎たらしい顔のせいで

知らない人が多い場所は大嫌いだったし
大学もほぼ親が行けって言うから渋々行ったようなもの。

面倒でサークルとかも見学すら行ってないし
適当に流れに任せて卒業しよう。





案の定知らない女に声を掛けられその度にあしらい
余計に異性という存在に嫌気がさす。


出歩く時は深く帽子を被って顔が見えないようにした。

俺じゃなかったらこの顔を使って好き放題する生き方もあるんだろう。



俺の中身も何にも知らない癖に、知ろうともしない癖に、顔だけ見て近寄ってきやがって。




こんな性格だから、俺はもう人生で恋愛することとか一生ないんだろうな、って。ずっとそう思ってた。








…一目惚れだった。



毎週同じ時間、同じ車両、端っこに座って
いつも眠そうにうとうとしている女の子。

気がつけば毎日その子の姿を探すようになって
目で追うようになった。


…あ、俺と同じ駅で降りるんだ。

歳は近そうだし、学生？と思ったら
同じ大学に入っていったからびっくりした。






だけど大学って高校みたいに毎日時間割が同じじゃなくて人によって時間割が違うから勿論会えない日もあったけど、その子とは結構電車が被ることが多かった。



いつも杖ついてるおばあさんに
『ここ座ってください』って席を代わっている姿を見る。





見た目は綺麗で美人すぎて簡単に人を寄せ付けない
雰囲気があるけど不意に微笑んだ表情が柔らかくて
可愛くて、どこか幼く見える。

遠い人かと思ったら急に距離を縮めてくる感じ。




遠目でそんな姿を見つめて、いつの間にか好きになってた。



俺は女の子とまともに話せるほど
フレンドリーな性格じゃない。




ていうかその子と目を合わせることすら出来るか
分かんないくらいには拗らせてるし。





だけどどうにか関わりを持ちたくてある日、話しかけた。




いつものようにその子がおばあさんと席を代わった。

その日は土曜日の満員電車で
俺もいつもの席に座れなかったから立ってたんだけど、

本当にたまたま、その子に手を伸ばす男の手が見えて、気付いたら掴んでた。







「…何してるんですか」









偶然を装ってAに近付いて、助けたの。

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