【JK】ひと夏の泡沫

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『…テヒョン、何で』

「A？聞いて。俺のことちゃんと見て」

『…、』

「大丈夫。Aは俺がいる限り、迷うことはないから。何があっても俺がAを助けてあげる」

『…テヒョ、』

「暗い世界に閉じ込められても、誰もいない場所で一人ぼっちになっても、絶対におれが見つけだして何があっても救い出してあげる」







それで、俺が涙を拭いて、笑顔にしてあげる。

俺の幸せのかたちは、こういうものなんだよ。



だけど本当は、ちょっと本音を言うと

離したくないし、ジョングクの元に行かせたくない。




Aっていつも俺のこと優しいって言うけど、ほんとはこのままAと二人で誰もいない世界に落っこちちゃえばいいのにって思ってるくらいには優しくなんかないよ。




中学生の俺に、あとほんの少し勇気があれば

Aがジョングクと出会うよりもはやく
俺が気持ちを伝えていれば


こんな未来も、少しは変わっていたのかもしれない。





『…テヒョン、ごめんね』

「謝んないでよ」

『優しいテヒョンが大好きだよ。
そばに居てくれてありがとう、』

「ふふ、ほんと、最後までずるい子だね」

『…ごめん、ずるい事しか言えなくて』

「ずるいAも愛してるよ」






はあ。きっとこの先も俺はこのずるくて可愛い子のことを好きでいるんだろうな。


次俺に泣きついてきた時はもう離してやれないだろうなって、俺の腕の中で泣きながらはにかんだAを見て自嘲した。

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