【JK】ひと夏の泡沫

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【THside】



Aを幸せにしてあげたい。ただそれだけの事。

俺にとってAが全てであり、誰よりも大切な子だから。





何があってもAを一番に考えるし、わがままもいくらでも聞くし、辛いことも悲しいこともぜんぶ俺が忘れさせてあげる。




だから、俺はAの隣に居ちゃいけなかったんだね。






Aが幸せになる手段になれるなら俺はいくらでも利用されにいくし、Aが笑ってくれるなら何だってできる。

愛してるAを手放す事だって、できる。




心が綺麗で優しい子だから俺を傷つけないために
俺の隣にいてくれる時は本当に愛してくれてた。






どんな形でもAに愛してもらえるなら幸せだけど、でもAにとってそれが負担になってるなら何にも意味無いんだよ。

日に日にAが抱え込んでる何かが膨らんでいってる気がして、それを忘れたいから毎日俺を求めてくれた。





それで本当に忘れられるなら何でも良かったけど、俺を求めてくれるたびにAが壊れてしまいそうで



泣きそうな顔で『好きって言って』と俺に何度も愛の言葉を求める。





俺はAが求める以上に好きだって、愛してるって伝えるけれど、

本当はこんなたった一言の言葉じゃ表せないくらい俺の身体も心もAでいっぱいなんだよ。


だからこれ以上苦しそうな顔は、もうさせたくない。




ほら、言ったでしょ。

迷ったら俺の手を握ってねって。
そしたら俺が手を引いて、Aの道しるべになるから。







「ジョングクのとこ、行っておいで」

『…な、んで、』

「Aがジョングクと知り合いだったなんてびっくりした」





まさかとは思ってたけど、本当にまさかだった。

久しぶりに会ったと思ったら
「幸せにしてあげてくださいね、ヒョン」って。






人見知りで女の人苦手なあいつが、あんな顔して言ってくるなんて。






「何も言わなくたって、俺がAの幸せを願うのは変わんないよ」






運命のレールは、最初から敷かれてたんだな。

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