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川に沿うように並んでいる屋台。




人が賑わうそこはお祭り特有の煙の匂いやどこかから微かに香る甘い匂いが漂っていた。




何人か地元の知り合いに会って、私とテヒョンを見てきゃあきゃあとまくし立てられる。






お互いの知り合いに会うのはどこか気恥しさがあったが、中学時代に戻れた気がして楽しかった。






テヒョンと食べたい所を回って満足したところで、屋台通りを抜けた。

人混みを離れ、地元民しか知らないようなコンクリートの階段登って緩やかな丘にたどり着く。







花火が打ち上がる時間が迫り、騒がしかった空気に少し緊張感が漂っていた。









…まさか、テヒョンと二人きりで花火を見る日がくるなんて昔は思ってもいなかった。


いつから私を好きでいてくれてたんだろう。

気になるけど聞いたらきっと私が照れるような言葉ばかり返ってきそうだからやめておく。








『…あのね。ジョングクと、もう切った』







ひとりごとを言うみたいに呟く。


え、と私を見たテヒョンに気付かない振りをして空を仰いだ。






テヒョンがジョングクの事に触れてくることは一切無かった。


だけど彼は分かりやすい。感情が顔に出やすくて、しゅんとすると私から目を逸らして首の後ろを掻く。


私に触れる時、たまにそんな顔を見せる。








私のことを一番に想ってくれて、私だけを愛してくれる彼が器用じゃないのは知ってる。



知らないふりをするのも嫉妬を隠すのもテヒョンは苦手なのだ。







もうジョングクの事は考えてないし、考えるつもりもない。


私はテヒョンのことが好き。
だから不安にさせたくなかった。








「そっ、か」

『うん。だからもう会わないし好きじゃない』









テヒョンの頬に手を伸ばすと、その上から大きな手を重ねた。








『テヒョンしか見えないよ、私』








重ねられた手が小さく揺れた。


私の手を包んでしまえるくらい大きな手。



離れたと思えば、次はテヒョンに抱きしめられていた。







泥濘に足元をとられるように身体が重くなる。
愛おしくて、苦しい。







「…花火、もういっか」








視線が熱い。きっと気持ちはおんなじだ。

分かりきったようすで、お互い何も言葉を交わさずその場から離れる。





私たちの背中を掠めるように、後ろで打ち上がる花火がこだました。

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設定タグ:防弾少年団 , BTS , テヒョン   
作品ジャンル:恋愛
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chi134340(プロフ) - 素敵なお話をありがとうございました。終わってしまって寂しい気持ちもあって複雑…。またてこさんのお話を楽しみにしています。 (2021年9月11日 12時) (レス) id: fae26ba036 (このIDを非表示/違反報告)
JK1223(プロフ) - このお話大好きです…!更新されているとめちゃくちゃテンションが上がります!!下の方のようにテヒョンとうまくいって欲しいと思う反面…グクとグズグズになれーー!とも思ったり…( ; ; )これからも応援してます(*^_^*)頑張ってください!!! (2021年8月31日 22時) (レス) id: f8bf9f9746 (このIDを非表示/違反報告)
ふわふわ(プロフ) - どうかテヒョンを好きになってそのままでいてください! (2021年8月23日 3時) (レス) id: a67dcb29eb (このIDを非表示/違反報告)
えま - もはや切ない。。とっても面白くてハマっています!これからも更新頑張ってください! (2021年8月18日 10時) (レス) id: d6d16a0d4e (このIDを非表示/違反報告)
くま(プロフ) - すごくハマってしまい、Twitterで写真付きでみて、占つくで読み返して噛み締めるという事をしてます笑笑更新楽しみにしてます! (2021年8月17日 15時) (レス) id: 8165b878e0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:てこ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/huumi0000/  
作成日時:2021年8月10日 22時

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