28 ページ28
.
「あ、そういえばさ。再来週の土曜日空いてる？」
『再来週？』
まだバイトのシフト出してないけど…。
うん、と首を縦に振るとテヒョンが続ける。
「夏祭り行こうよ」
夏祭り？
スマホのカレンダーを確認するとその日は丁度空白。
見覚えのある日付にはっとする。
地元で毎年開催される花火大会の日だ。
『うん、行きたい』
「ほんと？じゃあ約束ね。あと、」
うん？
ニヤニヤしながらスマホのカレンダーのその日に私の名前の予定を入れたテヒョンは、ぱっと顔を上げた。
ぱちぱちと数回大きな瞬きをした後、「あー」と言葉を濁す。
『何よ』
「いやなら全然良いんだけどさ。
…Aの浴衣姿見たいなあって」
え？そんなこと？
なんか言いにくそうにしてるから何を言いだすのかと思ったら。
『ふふ、じゃあ着てくるね』
「え！いいの？」
『いいに決まってるじゃん』
そう言えばテヒョンは分かりやすく嬉しそうな顔で笑った。
浴衣着るだけでそんなに喜んでくれるならこっちも嬉しい。
と言っても最後に浴衣着たのいつだっけ。高校生の時？去年の夏祭りは女友達のグループで行ったから私服だった気がする。
「楽しみにしてるね」
後ろ髪をいじるテヒョンを見て、再来週が待ち遠しくなった。
.
待ち合わせの広場の公園。
入口の柵にもたれ掛かるテヒョンの姿を見つけて近寄ると、気付いたテヒョンが目を丸くしながら此方に近付いてくる。
『ごめんお待たせ』
「待ってないよ。…可愛いね」
髪型が崩れないようにか、小さく頭を撫でられた。
唐突にそんなことを言われて不覚にも照れてしまう。
浴衣姿のテヒョン。
テヒョンも浴衣を着てくると思っていなくてちょっとびっくりする。
端正な顔立ちに相応う紺色が映えている。
自分の恋人に見蕩れてしまうのが何だか照れくさいというか、なんというか。
『テヒョンも似合ってるよ』と手を握ると、テヒョンはふわりと口角を上げた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1610人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「BTS」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
chi134340(プロフ) - 素敵なお話をありがとうございました。終わってしまって寂しい気持ちもあって複雑…。またてこさんのお話を楽しみにしています。 (2021年9月11日 12時) (
レス) id: fae26ba036 (このIDを非表示/違反報告)
JK1223(プロフ) - このお話大好きです…！更新されているとめちゃくちゃテンションが上がります！！下の方のようにテヒョンとうまくいって欲しいと思う反面…グクとグズグズになれーー！とも思ったり…（ ; ; ）これからも応援してます(*^_^*)頑張ってください！！！ (2021年8月31日 22時) (レス) id: f8bf9f9746 (このIDを非表示/違反報告)
ふわふわ(プロフ) - どうかテヒョンを好きになってそのままでいてください！ (2021年8月23日 3時) (レス) id: a67dcb29eb (このIDを非表示/違反報告)
えま - もはや切ない。。とっても面白くてハマっています！これからも更新頑張ってください！ (2021年8月18日 10時) (レス) id: d6d16a0d4e (このIDを非表示/違反報告)
くま(プロフ) - すごくハマってしまい、Twitterで写真付きでみて、占つくで読み返して噛み締めるという事をしてます笑笑更新楽しみにしてます！ (2021年8月17日 15時) (レス) id: 8165b878e0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：てこ
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/huumi0000/
作成日時：2021年8月10日 22時
