【JK】ひと夏の泡沫

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強く引かれた手。

最後まで私の方なんて振り向きもせず家の前まで来た。


息を整える私の方をやっと振り向いたと思えば
ジョングクの顔は曇ってる。




「…入れて、A」




なんでそんな顔するの、。



態度は強引で私の事なんて考えてないようなのに
大きく真っ黒な瞳は静かに揺らいでいた。






「何で？」

『え、？』

「鍵、何で開けないの」

『…痛い、ジョングク、っ』





無意識なのか、徐々に私の腕を掴む力が強くなって
痛みで顔が歪む。




そして一瞬緩んだかと思えばその手は私の鞄をまさぐった。






ダメだと言っても聞こえてないのか、聞こえてない振りをしてるのか。

拒む私を押しのけて、ドアを開けた。







そのままぐい、と押し込まれる。

よろけた身体は器用に支えられ、私を見下ろすジョングクと目が合った。









『ジョングク、私彼氏できた』

「………」

『だからもう会えない』









自分で言っておいて胸が締め付けられる。

その弱い顔を見せられると、余計に。







「誰」

『テヒョン』

「え、ヒョン？」







気の抜けたような返事が返ってくる。

半ば私の腰を抱くような状態のジョングクを押し返した。








『…だからもういいよ。ジョングクも好きな子と頑張って』

「本気で言ってんの、それ」

『ジョングクこそ、いつまで本気でこんな事してるの？』








私とこんな関係を続けてないではやく好きな子と向き合いなよ。本気で好きなら、こんなこと間違ってる。







キッと睨むと、突然視界が歪んだ。

どん。と壁に押し付けられる。



背中に走った痛みなんて気にする暇なんてなく
両手首を掴まれた。身動きが取れない。







ジョングクの表情は暗くてよく見えず
私の肩に顔を近付けたと思えば、首筋に鋭い痛みが走った。

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