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『……え、』
ホーム画面を映し出すディスプレイ。
何が起こったのかよく分からない。
とっくに切れた電話はテヒョンによって私のカバンに突っ込まれる。
テヒョンは何も無かったかのようにへらりと笑った。
日が暮れ始め、空は夕焼け色と夜の色が滲んでいる。
「戻ろっか」それだけ言い残して車に乗った。
「今日見た海が一番綺麗だったかも」
「夜ご飯どっか寄って帰る？」
沈黙を避けてかちらほらテヒョンが話し始めて、私はうん、そうだね、とうわ言のような返事をする。
今一緒にいるのはテヒョンなのに、私の頭の中はジョングクでいっぱい。
通話を切ってしまってから何も連絡が来ない。
いつものジョングクならすぐに何らかの返事を返してくるし寧ろ「何で出ないの」って通知で煩いくらいなのに、何度もカトクを開いて見るけれど一向に画面は静かなまま。
私から「切ってごめん」とか「今友達と居たから」とか何でもいいから連絡すればいいのに、何故だかそういう気にはなれない。見放された気がして怖かった。
相変わらず面倒臭い自分に呆れる。
「……A？」
『ん？』
「怒ってる？」
は、。ばっと視線を上げて横を見ると、テヒョンと視線がぶつかった。
『なんで？』
「さっきから……元気ないから」
語尾が消えそうなくらい声が小さくなっていく。
眉を下げて、何とも言えない表情のテヒョン。
『ごめん、大丈夫だよ』
「大丈夫って」
『全然元気だから』
落ち着かなくて持っていたスマホをポケットにしまう。
「さっき電話切った事、怒ってるかと思って」
怒ってる訳では、。
そんなつもりなかった。ジョングクのことばかりで上の空になっていた事に申し訳なくなる。
『全然怒ってないよ』
「さっきの人、Aの好きな人だったんでしょ？」
そうだ、けど。こくりと頷くとテヒョンは視線を前に向ける。ぎゅ、と握り直したハンドルに少し力が入った気がした。
『ごめんね、大丈夫だから気にしないで、？』
こうやって落ち込んだところで私はジョングクの彼女なんかじゃないし、電話に出てたとしても関係は変わらない。
……そうだよね。今はテヒョンのこと考えよう。
赤信号で緩やかに車が停まった。
大丈夫、なんでもない。テヒョンと他愛無い話でもしていたら忘れられるから。
横から伸びた手が私の肩に触れて、気持ちを切り替えてもう一度顔を上げた。
『テヒョ……』
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chi134340(プロフ) - 素敵なお話をありがとうございました。終わってしまって寂しい気持ちもあって複雑…。またてこさんのお話を楽しみにしています。 (2021年9月11日 12時) (
レス) id: fae26ba036 (このIDを非表示/違反報告)
JK1223(プロフ) - このお話大好きです…！更新されているとめちゃくちゃテンションが上がります！！下の方のようにテヒョンとうまくいって欲しいと思う反面…グクとグズグズになれーー！とも思ったり…（ ; ; ）これからも応援してます(*^_^*)頑張ってください！！！ (2021年8月31日 22時) (レス) id: f8bf9f9746 (このIDを非表示/違反報告)
ふわふわ(プロフ) - どうかテヒョンを好きになってそのままでいてください！ (2021年8月23日 3時) (レス) id: a67dcb29eb (このIDを非表示/違反報告)
えま - もはや切ない。。とっても面白くてハマっています！これからも更新頑張ってください！ (2021年8月18日 10時) (レス) id: d6d16a0d4e (このIDを非表示/違反報告)
くま(プロフ) - すごくハマってしまい、Twitterで写真付きでみて、占つくで読み返して噛み締めるという事をしてます笑笑更新楽しみにしてます！ (2021年8月17日 15時) (レス) id: 8165b878e0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：てこ
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/huumi0000/
作成日時：2021年8月10日 22時
