29 ページ29
.
テヒョン君の両手には紙袋や花でいっぱいになっていた。
学ランのボタンは全部ちぎれて無くなっていて
疲れた、、と疲労感でいっぱいな表情
テヒョン君の次元を超えた人気の様に
彼も彼で大変なんだろうな、と苦笑を零すことしか出来なかった
『テヒョン君卒業おめでとう！』
「ふふ、ありがとう」
私の手元を見たテヒョン君
じっと見つめる彼に首を傾げる
「その花束、誰の？」
不思議そうに荷物を抱えたまま指さした。
満更でもなさそうに
少し期待の膨らんだ眼差しを向けられる
『勿論テヒョン君のだよ』
大きな口を四角く開け
「ほんと！？はやく頂戴？」
ちいさな子供がはしゃぐみたいに
にっこりと笑った。
『テヒョン君もう持てないでしょ
家に帰ったら渡すよ』
「じゃあ今ここに全部置くから頂戴？」
抱えていた紙袋を
本当にその場に置こうとするテヒョン君に
だめだめ、！と止める。
せっかくもらったプレゼントなのに汚れるじゃんか。
焦らなくても花束はどこにも逃げないのに。
『今はだめだよ！
後でいつでも渡せるから』
「やだ、今欲しい。
ていうか1番最初に欲しかった」
キラキラした目で花束を真っ直ぐ見るテヒョン君に
だめだと強く言えるはずも無く
1度荷物を全部置いて
大切そうに受け取った。
「ふふ、ありがとう
一生枯れないで欲しい」
『それは無理があるよ』
「絶対に枯れるなって念力送ったらいけるかな？」
『花のプレッシャー凄すぎるな』
…やっぱり言わないでおこう。
最後の最後にテヒョン君と気まずくなるのも嫌だから。
あまりにも大きかった10年の想いを
そっと、胸の奥へと蓋をした。
「あ、これ」
『ん？』
何かを思い出したような素振りをして
学ランの左ポケットに手を突っ込みがさがさ漁る
そこから私にはい、と見せたのは
学ランのボタンだった。
『…なにこれ』
「うーん、これはAに持ってて欲しくて
取っておいたんだけど」
親指と人差し指でそれを摘んで
学ランの第二ボタンの場所にそっとかざした。
『…え、誰にもあげなかったの？』
「Aに貰って欲しいなと思ってたんだけど
やっぱりいらないか」
『…え、！いる、いります、！』
.
それから数日後、テヒョン君は大邱を出て
ソウルへ行った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1446人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「BTS」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
てこ(プロフ) - あかねさん» コメントありがとうございます！私もはやく引っ付いてくれと書きながら思いました、、(*_*)嬉しいです(^-^)こちらこそありがとうございます！ (2021年5月24日 20時) (
レス) id: 2cb880cbb0 (このIDを非表示/違反報告)
てこ(プロフ) - くまさん» コメントありがとうございます(^^)わあ嬉しいです！他のお話も読んでくださってるんですね！遅めの更新になってしまっていますが頑張ります(^^♪ (2021年5月24日 20時) (レス) id: 2cb880cbb0 (このIDを非表示/違反報告)
あかね(プロフ) - コメント失礼します。すごく素敵なお話でした。切なすぎて途中泣いてしまいました。素敵なお話をありがとうございます！ (2021年4月26日 12時) (レス) id: 00461c6a2c (このIDを非表示/違反報告)
くま(プロフ) - すごく素敵なお話でした！てこさんの世界観大好きです！他のお話も楽しみにしてます♪ (2021年4月24日 22時) (レス) id: 8165b878e0 (このIDを非表示/違反報告)
てこ(プロフ) - みりあさん» コメントありがとうございます♪わあ嬉しい限りです(;_;)少しでもみりあ様の気持ちに寄り添えられたらと思います。色々大変なことが沢山あると思いますが、お仕事応援してます！ (2021年4月20日 22時) (レス) id: 2cb880cbb0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：てこ
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/huumi0000/
作成日時：2021年4月11日 1時
