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一通りの披露宴が終わり、落ち着いた頃。
や、と隣にきたのはジンさんだった。
「久しぶり」
『わ、!お久しぶりです』
綺麗なスーツを身にまとい、胸ポケットから薔薇を取り出したジンさんにくすっと笑うと彼は嬉しそうに口角を上げた。
「ふふ、良かった。笑顔が見れて」
暫く話していると、向こうから誰かが走ってきた。
「っ〜、やっと会えた!Aヌナ!」
横にいるジンさんを押しのけてきたのはジョングクさんだった。
「何でずっと会ってくれなかったんですか?
ヒョンのせいだけどさ」
「でもジニヒョンだけ先に会うのはずるいじゃん!」
「ねえ、どんだけ馬鹿力出して突き飛ばしてんだよ!」
そういえば、ジョングク君が私に会いたがってるってジミン君言ってたような。初めて会ってそうそう彼に至近距離で詰め寄られ、私は今の格好含め逃げることもできず。
相変わらず人見知りという名の通常運転でいる私は『え、と、あの』と何も言えないでいる。
「へえ、本当に可愛くて綺麗な人だ」
『…ちょ』
「はは、本当に仕草まで可愛い」
顔を近付けて覗いてくる彼から目を逸らして、
その視線から逃れたくてベールで顔を覆う。
残念ながら透け透けでほぼ意味無い。
こんな人なんだっけ、ジョングク君って。
彼も人見知りだって聞いてたんだけど。
「そりゃヒョンがゾッコンなわけだ」
『…あのグク君、』
「Aヌナのせいであの人いっつも僕に構ってくれないんですからね。もう慣れましたけど」
私を置いたままひとりで話し始める彼と、それを呆れたような顔で見つめるジンさん。
どうすることもできず固まっていると、仕事先のお偉いさんの輪から戻ってきたテヒョンが私とジョングク君を交互に見る。
「え、どうしたの。グクなんかした?」
「ヌナと話してたんですよ」
「は?ヌナ?」
「綺麗な人ですね」
「人の結婚式で俺の奥さん口説かないでくれる?」
む、としたテヒョンに引かれて、式場の裏へ行く。
控え室の奥にある景色が見える扉の傍に腰掛けた。
「…ほんと、似合ってるね」
『テヒョンこそ』
真っ白なシーツに映える顔。
かっこよくて眩しくて、見とれてしまう。
さっきテヒョンに「奥さん」って言われたのを思い出して、何だか照れるというか、慣れないというか。
じゃあテヒョンは旦那さんだ。
そう言おうとすれば、テヒョンの手が私の頬に触れた。
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ひ - 月が綺麗ですね。白目剥きました。チェゴ (2022年5月16日 12時) (レス) @page49 id: 79678d8172 (このIDを非表示/違反報告)
おけ(プロフ) - このお話好きすぎて寝ないで一気に読みました‼︎他のお話やおまけもぜひ読みたいです‼︎ (2022年2月13日 4時) (レス) @page50 id: a8986157d1 (このIDを非表示/違反報告)
あゆみ(プロフ) - とっても素敵なお話で一気に読み切ってしまいました。。この作品と作者さんのファンになりました(//Ü//)Twitterフォローさせていただきました、おまけもぜひ読ませていただきたいです! (2021年6月28日 18時) (レス) id: e9098fc564 (このIDを非表示/違反報告)
りなぴ(プロフ) - てこさんの描くテヒョンさんが本当に大好きです、とても素敵なお話でした!おまけも楽しみにしております!! (2021年6月22日 8時) (レス) id: 16fceb5abc (このIDを非表示/違反報告)
てこ(プロフ) - hanalieさん» コメントありがとうございます(^^)いくつかお話載せる予定なのでいつでも見に来て下さい♪ (2021年6月21日 0時) (レス) id: 2cb880cbb0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:てこ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/huumi0000/
作成日時:2021年4月6日 0時