君は僕の、 ページ45
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数年前の今日、特別な日。
テヒョンと私の誕生日の間を取って、彼が選んだ日。
そんなことを思い出したと同時に
テヒョンは窓の方へ私を連れていく。
『ねえ、待って、今日って』
「うん」
テヒョンは窓の外を指さした。
都会では見れない無数の星が散らばる空。
その中でひとつ輝くまあるい月。
「ほら、重なった」
あ、。満月だ。
遠い空の向こうから私たちを見下ろしてる。
運命なんて言えるほど、大層なことじゃないかもしれないけれど。特別な日がぴったりと交わる。
途端に身体が動かなくなった。動かないというか、動けない。私を見つめるテヒョンと目が合って、その真っ黒な瞳が何も言うなと私に訴えてる。
「ねえ、Aちゃん」
『…それ、中学の時の、』
「懐かしいでしょ?」
今じゃもう慣れない。
テヒョン君?なんて言ってみれば照れくさいのか下唇をきゅっと噛んではにかんだ。
どこか落ち着かない様子で首の後ろに手を当てる。
あの、ね。
待ってくれない時間は刻々と近付いて、次第に胸がどきどき高鳴る。
ううん、待ってなんて言わない。きっと私は。
「月が、綺麗ですね」
「この世界の何よりも愛してる。」
「僕と結婚してくれませんか」
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この世界の時が止まったみたいだった。
部屋の向こうから聞こえる暖炉の火の音も、遠くの何処かから微かに鳴ってる汽車の汽笛も
何もかも消えて、テヒョンの低い声しか耳に届かなかった。
どこまでも優しい声色。
その大きな身体が近付いて、私を抱きしめた。
…好き。大好き。
もうとっくの昔から、テヒョンしか見えないよ。
『…、はい』
ありがとう、私を好きになってくれて。
何よりも誰よりも、愛してくれて。
私に恋を教えてくれて。
ひとりぼっちだった私の手を、離さないでくれて。
テヒョンの隣で、沢山の世界を見た。
青い海も、大きな花火も、綺麗な夜空も。
私の知らない世界に、色を付けてくれた。
持ち上げられた左手。
薬指に、冷たい金属が通される。
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ひ - 月が綺麗ですね。白目剥きました。チェゴ (2022年5月16日 12時) (レス) @page49 id: 79678d8172 (このIDを非表示/違反報告)
おけ(プロフ) - このお話好きすぎて寝ないで一気に読みました‼︎他のお話やおまけもぜひ読みたいです‼︎ (2022年2月13日 4時) (レス) @page50 id: a8986157d1 (このIDを非表示/違反報告)
あゆみ(プロフ) - とっても素敵なお話で一気に読み切ってしまいました。。この作品と作者さんのファンになりました(//Ü//)Twitterフォローさせていただきました、おまけもぜひ読ませていただきたいです! (2021年6月28日 18時) (レス) id: e9098fc564 (このIDを非表示/違反報告)
りなぴ(プロフ) - てこさんの描くテヒョンさんが本当に大好きです、とても素敵なお話でした!おまけも楽しみにしております!! (2021年6月22日 8時) (レス) id: 16fceb5abc (このIDを非表示/違反報告)
てこ(プロフ) - hanalieさん» コメントありがとうございます(^^)いくつかお話載せる予定なのでいつでも見に来て下さい♪ (2021年6月21日 0時) (レス) id: 2cb880cbb0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:てこ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/huumi0000/
作成日時:2021年4月6日 0時