始まり ページ35
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しっしと手で払われる。ひど。友達なんだから彼女くらい見せてくれても良くない?なんかもう最後の方は半分ヤケクソになってた。
「ねえはやく行きなよ」
「いいじゃん挨拶くらい」
「何で」
「もー、何でそんなに嫌がるんだよ。
こんにちは!」
立ち塞がるテヒョンを避けて、その向こうを覗く。
後ろに居たのは、丸ぶち眼鏡を掛けてきょとんとした顔で僕を見つめる君だった。
艶のある綺麗な黒髪を耳に掛けて、恥ずかしそうに小さく会釈される。
その瞬間、とくんと胸がいやに揺れた。
目を奪われて一瞬全身の筋肉が硬直したみたいに動けなくなる。
透き通るような白い肌、小さな顔についた大きくつぶらな瞳。
綺麗な鼻筋にふっくらした桃色の唇。
もう何もかも遅かった。
僕の目に映る女の子は人が苦手なのか
どこか不安げに僕から目を逸らす。
「…ねえジミン、」
テヒョンの複雑そうな顔が視界に映り込んではっとする。無理に口角をあげてテヒョンに笑った。
「わ〜ほんとに可愛いじゃん」
「知ってる」
「そりゃクラスの打ち上げブッチしてデート行っちゃうわけだ」
「、あ!」
体育祭終わりの打ち上げ、クラスの女子達にテヒョンと僕だけ何故か強制参加にさせられてたのに、彼女に会うからって僕置いて逃げたからね、こいつ。
わざとその子に聞こえるように言えば、『…そうなの?』と小さく笑った。
こんな可愛い彼女がいたら、当然クラスのマドンナに言い寄られても相手にしない訳だ。
本当に、美男美女って言葉が似合う。
今どきの垢抜けたおしゃれな子という感じではない。
おどおどしてて、図書館に篭ってそうな女の子。純粋で汚れを知らないような目。真っ白のキャンバスみたいに、何色にでも染まってしまいそうで。
テヒョンが今まで誰にも彼女を会わせようとしなかった理由がやっとわかった。
まともな恋愛しないで女遊びばっかりしてる僕みたいな奴がこうなるんだから。
「…渡さないよ?」
「分かってるって」
「…どうだか」
大切な友達の彼女に一目惚れするとかこれ以上最悪なことないでしょ。こんな地獄みたいな状況あるの?
僕がAちゃんを好きになった時には
もう君はテヒョンしか見えてない。
ずっと、もう何年と経ってしまった今だって。
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ひ - 月が綺麗ですね。白目剥きました。チェゴ (2022年5月16日 12時) (レス) @page49 id: 79678d8172 (このIDを非表示/違反報告)
おけ(プロフ) - このお話好きすぎて寝ないで一気に読みました‼︎他のお話やおまけもぜひ読みたいです‼︎ (2022年2月13日 4時) (レス) @page50 id: a8986157d1 (このIDを非表示/違反報告)
あゆみ(プロフ) - とっても素敵なお話で一気に読み切ってしまいました。。この作品と作者さんのファンになりました(//Ü//)Twitterフォローさせていただきました、おまけもぜひ読ませていただきたいです! (2021年6月28日 18時) (レス) id: e9098fc564 (このIDを非表示/違反報告)
りなぴ(プロフ) - てこさんの描くテヒョンさんが本当に大好きです、とても素敵なお話でした!おまけも楽しみにしております!! (2021年6月22日 8時) (レス) id: 16fceb5abc (このIDを非表示/違反報告)
てこ(プロフ) - hanalieさん» コメントありがとうございます(^^)いくつかお話載せる予定なのでいつでも見に来て下さい♪ (2021年6月21日 0時) (レス) id: 2cb880cbb0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:てこ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/huumi0000/
作成日時:2021年4月6日 0時