色付く ページ31
.
そんな日々が気付けば数ヶ月続いてた。
私の隙をついて不意にキスをしてきたり
私に抱きついて起きてくれない朝は2人で仕事に遅刻しそうになった日もあった。
満月の夜に2人でベランダに出て、人目に隠れてしゃがんで夜空を眺めた日。
何も言わずに握られた左手。
ちらりとテヒョンを盗み見しようとしたら思いがけずにテヒョンと目が合う。
「ねえA」
『なに?』
「俺の人生で一番大切なものはAだよ」
…また大袈裟な。
テヒョンが言うことは予想外なことばっかり。
話が壮大すぎて、テヒョンの頭の中を覗いてみたい。
「俺が持ってるもの全部捨ててもAを選ぶ」
『…』
「仲間も、俺に期待してくれてる沢山の人たちも、唯一の友達も。Aが望むなら全部投げ出せるよ」
『…すごい冗談』
「冗談だと思う?」
『本気だとしたら怖い』
「あは、そっか」
「もし本気だったらどうする?」
よく分からない話を真面目な顔で真剣に言うから反応に困る。その質問は何を意味してるんだろう。
私の返事を待つテヒョンの視線が刺さって痛い。
月明かりに照らされた柔らかい表情に胸が締め付けられた。
彼の大切なものを奪ってでもテヒョンが欲しいだなんてそんな強欲な。実際に今テヒョンと2人きりでいること自体、世にバレてしまえば大変なことなのに。
「周りの目も声も何もかも全部届かないところで
2人で生きてくの」
『…お伽噺みたい』
「あの満月までAを連れ去れたらいいのに」
月を見上げてふわりと微笑んだ彼の横顔が惹き付けられる程綺麗で。通常運転なテヒョンに笑ってしまう。
…自分で別れるって言っておいて結局テヒョンから離れられない自分にも。
行動が矛盾しすぎて呆れて笑う事しかできない。
『…、、それも幸せかもしれないね』
それとなく言えば、視界から夜空がいなくなる。
代わりにテヒョンでいっぱいになって、触れるだけの口付けが落とされた。
.
「…A」
「次の満月の夜、もう1回告白するから」
3008人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「BTS」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ひ - 月が綺麗ですね。白目剥きました。チェゴ (2022年5月16日 12時) (レス) @page49 id: 79678d8172 (このIDを非表示/違反報告)
おけ(プロフ) - このお話好きすぎて寝ないで一気に読みました‼︎他のお話やおまけもぜひ読みたいです‼︎ (2022年2月13日 4時) (レス) @page50 id: a8986157d1 (このIDを非表示/違反報告)
あゆみ(プロフ) - とっても素敵なお話で一気に読み切ってしまいました。。この作品と作者さんのファンになりました(//Ü//)Twitterフォローさせていただきました、おまけもぜひ読ませていただきたいです! (2021年6月28日 18時) (レス) id: e9098fc564 (このIDを非表示/違反報告)
りなぴ(プロフ) - てこさんの描くテヒョンさんが本当に大好きです、とても素敵なお話でした!おまけも楽しみにしております!! (2021年6月22日 8時) (レス) id: 16fceb5abc (このIDを非表示/違反報告)
てこ(プロフ) - hanalieさん» コメントありがとうございます(^^)いくつかお話載せる予定なのでいつでも見に来て下さい♪ (2021年6月21日 0時) (レス) id: 2cb880cbb0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:てこ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/huumi0000/
作成日時:2021年4月6日 0時