36 ページ36
.
「よかった、Aがいいと思ってたんだよね」
『…何でですか』
「本好きだし図書室のこと詳しいでしょ?」
『好きですけど、』
「え、意外と乗り気じゃない」
驚いた顔する先生。
いやなんでびっくりしてるんだ。乗り気なわけないでしょ。
期間は一週間、午前中。
下の学年の部活勢が学校のあちらこちらにいる中、各クラス二人ずつ図書室に集められた。
「A、ついでに国語係もしてくれない?」
『それ先生のパシリですよね』
「そんな事ないって」
教科係がいないため、今国語準備室が手に負えない状態らしい。ただでさえ本が多いあの部屋。
机に沢山積まれた本の表紙を一冊ずつ拭いていく。
本が無くなってがらんとした本棚。
手分けして拭き終えた本を元の正しい場所に戻す。
気が遠くなりそうな作業だな、、
たまに面白そうな本を見つけては手を止めてちょっと読んでしまったりして余計に捗らない。
私向いてないかも。
もう飽きたのか、先生は私の向かいで本を読んでる。
伏し目がちに長い睫毛が目立つ。黙っていればかっこいいのに。
暫くすると本を閉じ、ん、と大きく伸びをした。一番上に積まれた一冊を手に取り、雑に拭きあげてボックスに入れる。
「いいなあ皆夏休みがあって」
『ないんですか?』
「先生だからね。ずーっと働きっぱなし」
何も考えずに手だけを動かす。
途中で先生が生徒に呼ばれて席を立った。
「テヒョン先生と仲良いね」
突然横から話し掛けられた。
可愛くてお淑やかな、同じクラスの子だった。
『そうかな、?』
「いいなぁ、私あんなに沢山話せたことない」
目尻に小さな皺をつくり、優しげな笑みを浮かべる。
その視線は本へ戻り、手元にある表紙をゆっくり撫でた。
「テヒョン先生ってかっこいいよね」
もしかして皆と同じ"先生のことが好きな人"だと思われてるのだろうか。一先ず頷くと、その子は話を続ける。
「先生って彼女いるの?」
『わ、かんない。どうだろう』
「好きな人がいるって噂は聞いたけど…分かんないね」
その一言にぴく、と反応してしまう。
今までできるだけ避けていたその話。テヒョン先生の、好きな人。
2349人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「BTS」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あみ - 更新頑張ってください!いつまでも待ってます (2021年7月19日 1時) (レス) id: b5b319fcf8 (このIDを非表示/違反報告)
みあも(プロフ) - めちゃくちゃ先が気になります!続き楽しみに待ってます(^^) (2021年6月14日 0時) (レス) id: 2123f5cbc8 (このIDを非表示/違反報告)
umi(プロフ) - 今一番楽しみにしているお話がこれです!!! (2021年6月1日 6時) (レス) id: 301fe77181 (このIDを非表示/違反報告)
まる(プロフ) - 続き楽しみに待ってます!!! (2021年5月7日 23時) (レス) id: b7e0ecb7e8 (このIDを非表示/違反報告)
あみ - 更新ファイトです! (2021年5月4日 16時) (レス) id: b5b319fcf8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:てこ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/huumi0000/
作成日時:2021年5月1日 14時