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「…え、先生好きな子いるの!?」
文字キーの上で忙しなく動いていた指がぴたりと止まる。
「こら、大きい声出さないの」
「あ、ごめん。え、彼女?」
「違うよ」
「先生でも捕まえられない子っているんだ…」
朝から何を聞かされてるんだろう。
自分の眉間にしわがよるのが分かる。
それでも横で繰り広げられる会話は
全ていやでも耳に入ってくる訳で。
「まあね」
「どんな子?年上?年下?」
「知りたがりだね、君は」
「だって先生の事だもん」
教えて教えて!と返答を催促する。
じゃあ、ひとつだけ。
秘密だよ、なんて片目を綺麗に閉じて口元に人差し指を置いた。
「俺と本の趣味が合う子」
ぱっと右を見る。ジスの向こう側にいる先生と折悪しく目が合い、先生はふわりと口元を緩めた。
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はい、と手渡されたそれに私は気分が高揚していた。
期待やらワクワクやら、色んな感情に胸の中が渦巻く。
私の両手の中にあるものを隅から隅まで眺めれば
ユンギ先生は気恥しそうに頭をがしがしとかいた。
『まさか先生が小説を出すなんて…』
最近は勉強に忙しくて先生と会うことも少なくなっていたのだけど、今日は用があると呼び出され放課後ユンギ先生の元へやってきた。
先生から呼び出すなんて初めてで突然何だとちょっと不安になりながら来てみれば
「本出した」とそれだけ言った先生を前に
その場で暫く呆然と立ち尽くした。
『多幸症』と名付けられた小説の表紙には、"著者 SUGA"と刻まれている。
何故このペンネームにしたのかと聞けば、学生時代につけられたあだ名なのだときまりが悪そうに答えてくれた。
どちらかと言えばユンギ先生は塩だと思うけど。
まあ確かにほんのたまに砂糖みたいな時もあるなと笑ってしまった。
「明日から売り出されるやつだが先にお前にやる」
『私が?いいんですか、、?』
先生と小説を視線がぐるぐる行き来する。
きっと顔の緩みが抑えられてないであろう私の表情に、先生はふ、と綻んだ。
「やっぱりいい反応するな、お前」
『だって発売前に読むの、この世で私だけなんじゃないですか?』
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あみ - 更新頑張ってください!いつまでも待ってます (2021年7月19日 1時) (レス) id: b5b319fcf8 (このIDを非表示/違反報告)
みあも(プロフ) - めちゃくちゃ先が気になります!続き楽しみに待ってます(^^) (2021年6月14日 0時) (レス) id: 2123f5cbc8 (このIDを非表示/違反報告)
umi(プロフ) - 今一番楽しみにしているお話がこれです!!! (2021年6月1日 6時) (レス) id: 301fe77181 (このIDを非表示/違反報告)
まる(プロフ) - 続き楽しみに待ってます!!! (2021年5月7日 23時) (レス) id: b7e0ecb7e8 (このIDを非表示/違反報告)
あみ - 更新ファイトです! (2021年5月4日 16時) (レス) id: b5b319fcf8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:てこ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/huumi0000/
作成日時:2021年5月1日 14時