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第11話:昔の話『壱』 ページ13

俺の家には、父親がいなかった。

一番下の妹を孕んだ時、父親は黙って出て行ってしまったと、以前母から聞いたことがある。

その頃まだ幼かった俺には、父が出て行ってしまった理由が分からなかった。

きっといつか、またあの笑顔で帰ってきてくれるとおもっていたんだ。

けど、父が帰ってくるはずなくて。

毎晩毎晩、母に泣きながら聞いたんだ。『父さん、どこ行っちゃったの』って。

母は答えてくれなかった。

ただ、俺を抱きしめながら『ごめんね』って言うだけだった。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
母さんは病弱だった。

妹を産んでからは、ずっと入退院を繰り返していた。

だから、俺が家族を支えないといけなかったわけで。

小学生のころから、よく家事とか手伝っていたものだ。

俺が中学に入ると、母さんもようやく落ち着いてきて、入院することが少なくなった。

だから、俺は大好きなバレーに本気で取り組んだ。

母さんや、弟も妹も応援してくれた。

中学3年生の時、学校で授業を受けていると、母さんが倒れたと、妹から連絡があった。

その日妹は幼稚園が休みで、母さんと家にいた。

急いで家に帰ると、妹が泣きながら抱き着いてきた。

どうしたと聞くと、母さんと一緒にテレビを見ていたら、急に倒れたといった。

その後、病院に電話して救急車を呼び、弟にも急いで帰ってきてもらった。

病院に行くと、先生から衝撃の事実を告白された。

母さんは『癌』だったのだ。

乳がんだと聞かされた。腫瘍はすでに、脇や脇腹にまで広がっていて、

もう手の施しようがないと言われた。

先生によると、長くて2年、短くて1年持つか持たないか。

あんまりだと思った。

初めて、神様を恨んだ。

こんなことがあるか。

―――――――――――――――世界は、こんなに理不尽だ――――――――――――――――


―――――――――――――――――――――――――――――
シリアス苦手すぎてぴぇぇ

第12話:今も→←番外編について※必読



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よもや - 早く続き読みたいです。このお話大好きです (2021年1月10日 15時) (レス) id: 399359edd6 (このIDを非表示/違反報告)
アイス - 柳田さんと、喋りすぎてほかの人達が嫉妬するみたいなのが見たいです! お願いします! (2019年10月16日 23時) (レス) id: 81c2881345 (このIDを非表示/違反報告)
ミ ツ ル(プロフ) - ふぇみりさん» お久しぶりです!ありがとうございます(*´▽`人)亀更新ですがこれからも頑張ります! (2017年9月17日 21時) (レス) id: 8f25241d57 (このIDを非表示/違反報告)
ふぇみり(プロフ) - うわぁぁぁっ!!お久しぶりですっ!!これから楽しみにしてます!頑張ってください!! (2017年9月17日 20時) (レス) id: 31a32f62bb (このIDを非表示/違反報告)
ミ ツ ル(プロフ) - 皆様お久しぶりです。名前もアカウントも変わりましたが、作者の元風魔、現ミ ツ ルです。これからまた更新していきますので、何卒よろしくお願いいたします。応援やご心配、ありがとうございます!作者はバリバリ元気です故、これからも頑張ります! (2017年9月17日 18時) (レス) id: 8f25241d57 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ミ ツ ル x他1人 | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2015年10月14日 20時

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