君を待っていた【第五人格】

ご機嫌な鼻歌を聴かされて253秒経過　リッパー ページ20

前は仲間が助けてくれたこそ脱出ができたが今回はそんなことはないだろう、だって自分以外はもう椅子で飛ばされているのだから。それも最悪な飛ばされ方だった、ダウンした私の前で仲間を吊り目の前で飛ばしていくという悪魔のような所業をいとも簡単に行われた、いや悪魔の方が生ぬるいかもしれないな、ズキズキと痛む傷と短時間の強いストレスにより痛む頭に耳障りな鼻歌、今まで生きていた色んな状況の中で今が一番いやな状況であることは絶対だ。

「今までやってきたゲームの中で一番いいゲームでしたね、貴女が自身の無力さに打ちひしがれた顔といったら…思い出すだけで素晴らしい」

私にとって最悪なゲーム、リッパーにとって最高なゲーム、私が今まで一番いやなゲームだけどリッパーには今までで一番いいゲーム本当、心の底体の底から嫌悪が湧き出す感覚が止まらない嫌悪に吐き気がする

「あぁいいですねその顔、私が憎くてたまらないという顔はとてもそそりますね」

相変わらず仮面で顔は見えはしないが笑ってる嘲笑ってる
噛みしめていた唇から血が流れぽたぽたと流れ常に流れ広がっていた血に落ちていく、この光景も相手を喜ばせているらしく、上から気ままな鼻歌が聞こえてくる





何秒たった？何分立った？頭がくらくらする、全身に寒気が走って止まらない、音が遠くに聞こえ時折かすれる、喉から声は出ない、体は鉛のように重い
こんなにまでも体の機能は落ちているが何故かはっきりと聞こえる鼻歌を聴きながら、自分から流れ出た血にべしゃりと横たわると、その場から動かずにずっと鼻歌を歌っていたリッパーが動き出した

「はぁもう終わりですか？もっと貴女の顔を見ていたいのに残念です」

風船で吊ることが不可能なぐらいなほど瀕死の状態のためずるりと体が抱えられる、歩く度に揺れる感覚が、揺れる視界が、伝わってくるコイツの体温がすべて気持ち悪くさせてきて今にでも吐きそうだが、流石に吐くということはせずに必死に耐えると辿りつく先は椅子
ハッチで逃がすという考えは一切ないのだろう、私も期待はしていなかったが…
もはやここから解放されればなんでもいい早く椅子に座らせてほしいのだが何故かリッパーの顔がグイッと近づいてきた

「愛はすぐには手に入らないですが、憎しみはどの感情よりも手に入りやすいだからこそ私は憎しみを求めて仕方がない、だからこれからも憎んでくださいA」

貴女が憎む相手は私だけでいいのですから、それではさようなら

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