信じてみても良いですか？ (ページ9)

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９話ページ9

貴女side

今は車の中にいる。

狭い空間に二人きり、という状況で、怖くて、怖くて仕方ない。

相川さんは私が怖がっていうことを察してなのかなにも話してこない。

リュックサックを抱(だ)き抱(かか)えながら、また頭の中で自分に大丈夫、大丈夫、って自分に何度も伝える。

今は本当に泣きそうで、でもここで泣けないから頑張って我慢して揺られること３０分位。

車が止まったのはそこそこ大きい一軒家。

「着いたよ」

相川さんはそう言って車を降りるから私も急いで車からでた。

相川さんの後を追うと玄関についた。

「今開けるからね」

そう言って扉を開けると、中に入っていった。
相川さんが扉を開けたままこちらを見ている。

私がいつまでも入らないから。

でもなぜか動けない。家に入るのが怖かった。
単純に怖いのもあるけど、入ると前の家の思い出がなくなってしまいそうで、居場所がなくなっていく感覚がしたから。

相川さんはずっと待っててくれた。
急かすこともなく、怒ることもしなかった。

私はずっと俯いていた。

家に入ったのはそれから３０分位たった後だった。

それからリビングに案内されて、相川さんと向かい合わせに座った。