詐欺師は詐欺師に嘘をつく【テニプリ/仁王雅治】 (ページ6)

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｢……そう言えば、仁王くんってなりすますのが上手なんですよね。……こうして私が話してるのも、仁王くんじゃなくて柳生くんだったりして。｣

｢おお、柳生となり代われるの知っとったんか。安心し、こうしてサボって普通にしとるのは俺じゃなきゃ出来んから。｣

｢はい、前に試合見たことがあって。そうですよね、柳生くん真面目ですもんね……｣

｢同じ詐欺師でも、俺んほうが悪質じゃき。お前さんも呼ばれとるんじゃろ？｣

｢はい、まあ……｣

そう言う彼女は、あまり嬉しくなさそうじゃった。

そりゃあそうじゃの。詐欺師なんて、あまりいい意味で捉えられることは少ないからの。

｢……舞台上の詐欺師、なんてみんな言うけど……私、騙してるつもりなんてないんです……｣

｢知っとる。お前さんは、その逆ぜよ。騙すんじゃなくて、騙される。それほどにお前さんの演技は凄いんじゃ。｣

俺もそのうちの一人、なんてことは言えずに、俺はそう彼女にいった。

｢俺のように、悪い意味で付けられた異名じゃなか。だからその名前を誇りに思いんしゃい。｣

｢仁王くん……｣

｢……俺は、コート上。お前さんは、舞台上。同じ詐欺師同士、仲良くせんか？｣

やっと切り出した、本当の狙い。

彼女がうなづくまでに、そう時間はかからんかった。