詐欺師は詐欺師に嘘をつく【テニプリ/仁王雅治】 (ページ31)

今日:12 hit、昨日:10 hit、合計:37,558 hit

□３０□ ページ31

柳生side

.

まったく、あの人は。女性に対してまで詐欺(ペテン)を働くなんて。

｢大丈夫ですか？｣

私は、とりあえず立ち尽くす彼女に声をかけた。

この人は……そうだ、有宮A。最近よく仁王くんと話していた……

｢有宮さん？｣

｢……｣

すると、彼女は突然その場に崩れ落ちた。思わず、彼女に駆け寄り口を開く。

｢有宮さん！？｣

｢……嘘だよ……｣

｢え？｣

｢嘘だよ……今まで私が仲良くしてきたのが、仁王くんなんて……だって、柳生くん仁王くんを探して、それで……待つからって、私と……｣

｢……｣

……本当に、仁王くんという人は。大方、彼のことです。騙していたのも遊びでしょう。

｢……すみません、有宮さん。私が仁王くんを探していたのは本当ですが、私は今日まで一度もあなたと親しくお話したことは、ないんです。｣

｢……じゃあ私……騙されてたの……？｣

｢ええ……恐らく。｣

｢そ、んな……｣

そういうと、彼女は弱々しく泣き出した。

……とにかく、彼女をクラスに送り届けましょう。仁王くんに問い詰めるのは、その後です。

私はなんとか彼女を立ち上がらせ、クラスへと歩いていった。