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□２２□ ページ23
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柄にもない、文庫本を手に屋上に立つ。
｢……｣
あとAが来るまで、どれくらいじゃろうか。
度の入っていないメガネを押し上げる。俺……いや、正確には柳生比呂士の姿をした俺、はそこらへんに腰を下ろし、文庫本を開いた。
あくまで、ふりでいい。彼女が俺に騙されてくれれば、それで。
｢……｣
最低じゃと、自分でもわかっとった。
それでも自分の心を満たすためには、こんな方法しか思いつかんかった。
柳生が気づかんなら、俺が柳生になればいい。
得意の
そして、そのまま、あわよくば。
｢……そんな、都合良く進むはずなんてないのにの。｣
嘲る言葉は、誰にも届かず空に消えた。
……少しでええ。
少しでええから、その愛情を俺にも向けて。
扉の開く音がした。俺は再び、文庫本に目を落とす。
今日、詐欺師は詐欺師に嘘をつく。
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作者名：幻想曲 | 作者ホームページ：http://uranai.amanoboru
作成日時：2015年7月3日 0時
