今日:3 hit、昨日:10 hit、合計:37,549 hit
小｜中｜大
□２１□ ページ22
.
.
しかし、一方の柳生は彼女の想いに気づいていないようじゃった。
彼女がアプローチせんっていうのもあるんじゃろうが、鈍い奴じゃ……
(……いや。)
ふと、俺の脳裏に浮かんだ考え。
久しぶりに我ながら最低で、卑怯だと思った。
それでも、この機会。柳生が気づいておらんのなら、使った方が楽になれる気がした。
罪悪感と己の欲望が、天秤の上で揺れる。
Aを傷つけることだけは、したくはなかった。
それでも、二度とこんな苦しみを味わわなくてすむんじゃったら。
一度だけでも、俺に振り向いてもらえるというんじゃったら。
｢っ……｣
鏡の前に、立つ。
ウィッグ。メガネ。きっちりと閉めたボタンに、結び直したネクタイ。それから、わざと似せた声も。
敵を欺くために、お遊びだけのために、使ってきたモノ。
それを、今……
｢……これで、ええんじゃ。｣
俺は、己のためだけに利用する。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 29人がお気に入り
お気に入り作者に追加
「テニスの王子様」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：幻想曲 | 作者ホームページ：http://uranai.amanoboru
作成日時：2015年7月3日 0時
