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彼女の俺を見る目は、恋愛対象としてではない。
次の日から彼女と話すときは、俺は言葉にできないほどの苦痛を感じるようになってしまった。
それでも彼女に会うことをやめんかったのは、俺がまだ彼女を好きだったからなんじゃろうか。
それとも、有り得るはずのない可能性を信じとったからなんじゃろうか。
｢仁王くん！｣
彼女は変わらず、俺を見ると嬉しそうに笑った。
それがなんとも愛しくて、愛らしくて、俺の胸を余計に締め付けた。
(あの先に、俺はいないんじゃ。)
思わずそう考えると、また痛みが増す。
俺には、いつもの顔を取り繕って手を振ることが、精一杯じゃった。
｢元気じゃの、A。｣
自分に自分で、詐欺をかける。
そうでもしてないと、俺は普通に彼女に接せん気がした。
だから……
｢あ、ねえ仁王くん、また練習付き合ってくれないかな？｣
｢ん、構んぜよ。｣
俺は今日も、彼女の隣で笑うだけ。
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作者名：幻想曲 | 作者ホームページ：http://uranai.amanoboru
作成日時：2015年7月3日 0時
