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｢……お前さん、随分変わった趣味なんじゃのう……あんなエセ紳士、好きにならんほうが身のためじゃき。｣
｢すごい言い分だね……｣
｢パートナーじゃからの。｣
無駄だとわかりつつも、そんなふうに話してみる。ありがとう、と彼女は笑って言った。
｢……でも、私は好きだよ。柳生くんのこと。かっこよくて優しくて、すごく真面目で……｣
そう話すAの目は、俺を見とらんかった。
どこかに映る柳生の影を追って、赤い頬のまま話続けたのだった。
｢……私ね、彼と釣り合えるくらいになりたいの。そうしたら、告白するって決めてるんだ……｣
自己満足かもしれないけど、と笑った彼女に、俺の胸は酷い痛みを覚えた。
｢……なら、頑張りんしゃい。お前さんほど努力家なら、柳生と釣り合えるはずじゃ。｣
痛みを抑えながら、俺はそう声をかけることしかできんかった。
｢ありがとう、仁王くん！｣
今日一番の、とびきりの笑顔。
それが俺に向けられることは、もう、二度とない。
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作者名：幻想曲 | 作者ホームページ：http://uranai.amanoboru
作成日時：2015年7月3日 0時
