頼ってほしい ページ21
蒼真「本当に大丈夫なの?」
俺は怖くなって彼女にそっと聞く。
貴方「大丈夫です……いつものことなので」
蒼真「まだ怖いかもしれないけど頼っていいんだよ!俺にも颯くんにも…五十嵐さんにだって」
伝えないと…できるだけ今のうちに
女子生徒1「それに男好きっていうのもね…」
女子生徒2「ねー…最低だよね」
貴方「……っ」
彼女はあの2人の声が聞こえてくるたびに肩を震わしている。
この反応は迷惑を掛けたくないから閉じ込めているのだろう。
瞬くんの怒りはマックスだけどAちゃんはずっと彼の服を掴んでいる。
多分自分のために行動してくれるのは分かってても怖いのだろう。
学校で何を言われるのか想像しただけで震えてしまっているんだ。
蒼真「あ、颯くーん」
そこに息を切らしながら待っていた人物颯くんが到着した。
颯「ごめん…遅くなって…」
颯くんはAちゃんをそっと見てこう言う。
颯「五十嵐先生がどうせなら一気に聞いちゃいたいってカフェで話し合いをしようって」
蒼真「そうなの?」
瞬「なら、俺は後から行くよ…さくらを家に置いてくるから」
彼女はさくらちゃんの頭を優しくなでると瞬くんはリードを持って家に向かった。
カフェに向かう途中で颯くんは立ち止まる。
貴方「颯さん?何か忘れものですか?」
颯「いや…実はカフェでの話し合いって嘘で」
蒼真「嘘?なんでまた…」
颯「Aちゃんがあそこにいるの嫌そうだったし…女子2人組がこの子を見てひそひそ何かを話してるように見えたから…もしかしたらって」
颯くん…あの一瞬でそこまで推理したんだ。
やっぱり颯くんがインタビューする人選で良かった。
こういうさりげない気遣いも彼だからできるんだ。
蒼真「でもこういう大通りではできないから、カフェに行こうか」
颯「Aちゃんも振り回してごめん…いきなり嘘ついたりして…」
貴方「いえ…むしろ理解者がいてくれて助かります…颯さんもだけど…蒼真さんも理解してくれるから嬉しいです」
蒼真「瞬には内緒にしておこうか…」
瞬「何を内緒にするって?」
いつの間にか後ろに瞬が立っていて思わずビクッとしてしまう。
颯「そのこの子があの場にいるのが辛そうだったからカフェに移動しようって嘘ついて…」
瞬「妹を気遣ってくれたんですか…ありがとうございます」
瞬くんは俺を見てポツリと一言。
瞬「内緒にするようなことじゃないじゃん」
今はまだこんな関係でもいつか頼ってもらえたらいいな。
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