普通に… ページ24
汀side
すると、女性店員がにこやかに衝撃的な言葉を吐き出す。
「カッコイイ彼氏さんですねー!彼女さんも美人で羨ましいです!」
「い、いやいやいや!!違います!カップルじゃないですから!」
「え、違うんですか?」
「彼女にこの服を」
「ってさりげなく彼女宣言しないでください!!」
そして礼司さんが支払おうとしていたが、俺は遠慮した。で、結局半分支払うということになってしまった。
「…で、カフェですか」
「おや、お嫌いですか?」
近くのカフェに移動し外のテラスで向き合う。
「嫌いじゃないですけど…今日、仕事ないんですか?」
「ええ、久し振りの休日です」
「それで?その貴重な休みを使って俺に会いに来た理由は?」
俺は若干苛立ちながら運ばれてきたオレンジジュースを飲む。
「美しい顔が台無しですよ?」
一方礼司さんは気にすることなく紅茶を飲む。
「美しくないですし気にしません。それより、本題に入ってください」
「本当にただ貴方に会いに来ただけですよ。私の部下達が貴方の話題で盛り上がっているので、興味を持ちまして」
その言葉は本当のようで礼司さんから嘘をついている気配はない。
「…そうですか。ま、それならいいんですけど」
「汀さんはこういうのは、お嫌いですか?」
「こういうの…?」
「普通の女性のようにオシャレをして、普通の女性のように異性と出掛ける…」
「普通、ですか…」
俺はその言葉に視線を落とす。
王になった今じゃ、そんな日常…望めない。王は…王であるべきだから。
「別に…俺はそういうの、望んでませんから」
俺はジュースを飲み干して笑みを作る。それがちゃんと笑えていたのか分からない。けど今は騙されてほしかった。
この笑みに、この言葉に。
礼司さんは何かを察してくれたのかそれ以上何も言わなかった。
「それより、もういいですか?帰りたいんですが」
「おや、私とのデートは嫌ですか?」
「デートって…ただ単に連れ回しただけでしょう」
だが俺は何も聞かないでくれた礼司さんに感謝の意味を込めて、
「仕方ありませんね…少しだけなら、付き合いますよ」
「有り難うございます。それでは、行きましょうか」
礼司さんは紳士らしく手を差し出した。
俺はカッコイイ人は何しても似合うなーなんて思いながらもその手を取る。
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陽楽 - 同じものをもう一回書くの…大変… (2014年7月25日 13時) (レス) id: fbe8c28459 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:陽楽 | 作成日時:2014年7月6日 9時