幸せ ページ12
汀side
最近、むしゃくしゃする…。
俺は煙草を吹かしながら溜め息をつく。吐き出された煙は紫色だった(これは俺の能力で体に害はないので安心して吸える)。
※未成年の喫煙は違法です。
街を行き交う人々を眺めながら俺は近くの電柱に背を預ける。先程から何度か逆ナンされたが丁寧にお断りした。イラついてる時には煙草を吸いたくなる。ああ、大人もこんな感じかなぁなんて思いながら。
「そういや…アイツ、煙草嫌いだったか」
頭に浮かぶのは俺より年上の女性。俺より三つ上の癖に酒は飲めないわ、煙草は吸えないわ…(飲まなくても吸わなくてもいいんだが)本当に年上かと疑ってしまうほど子供っぽい女性だった。
それでも、時折見せる懐の広さは「ああ、やっぱり年上なんだなぁ」と思うわけで。俺を受け止めたときも、そう実感させられた。最初に出会った時から、彼女の最期まで。
『ちゃんと…幸せに、なって…』
聞こえてくるのは彼女の最期の声。スピーカー越しでどこか弱々しい声音だった。悲鳴やら銃声が飛び交い、一君の悲痛な叫びが妙に残っている。
だから、嫌だった。
彼女が<ロザリア>に入るのが。こうなることくらい、初めから分かっていたのに。
「っくそ…俺らしくない…!」
そう、感傷に浸るなんて俺らしくない。最近、ふとした瞬間に彼女を思い出す。それは、ちょうど<吠舞羅>に会ってからだ。そして、<セプター4>と交流があった日も夜に彼女が出た。
何かの予兆か?なんて思いながら。
「ちゃんと、幸せに…か…。お前が、言えた義理かっての…」
俺は煙草を吸いながら空を見上げる。雲一つない晴天に、紫色の煙が侵食する。
ああ、やっぱり…俺らしくない。
「恋しい、なんて思うなんて…」
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陽楽 - 同じものをもう一回書くの…大変… (2014年7月25日 13時) (レス) id: fbe8c28459 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:陽楽 | 作成日時:2014年7月6日 9時