アイするカノジョ。【呪術廻戦】

＃１０ - ３ ページ47

傑「…さて、迎えに行くよ。私のお姫様。」




先程取り込んだ馬型の呪霊を、彼は召喚しては彼女を探すために乗馬して動きだす。

その時、会場に生じる眩く強い光。
それは、悟が発動させる術式のひとつで。



傑「……悟が、彼女相手に呪術を行使しているのか？」



傑は、信じられない現実に焦燥の表情を浮かべては2人の元に急いだ。



____武道館 メインステージ



悟の発動させた術式順転『蒼』。
その収束により、カノジョは削り取られていった___はずだった。

悟の呪術よりも早く、
カノジョの中で、愛が満たされていたのだ。



『起きて。』



カノジョに呑まれた彼女が、再び目を覚ます。
呪いの一部と化していた彼女に、実態などない。

ただ、聞こえてくるこの幼い声に反応を示した。



(どうしたの？)

『わたしは、満足したよ。いっぱいの愛をありがとう。』
(もういいの？ただ、泣いていただけじゃない。)
『わたしの願いはね、私の初めてのお友達が叶えてくれたんだよ。』
(………悟くんが？)



とても満足そうな、未練の無い声色でカノジョは答える。



『そう、悟くん。わたしのこと、終わらせてくれたんだ。』

(……そっか、じゃあ一緒に逝こうか。地獄でも何も無い虚無の暗闇にだって、あなたとならどこでも。)
『ううん、逝かない。』
(は？)



『私には、まだ愛をいっぱいくれるお友達がいるんでしょ？』



そうして、溢れ出したのはたった2日間の思い出。
それ以外にも、たくさんの人に愛されてきた今日までの『アイドル』が映し出される。



『わたしは、もう満足なんだ。私が、いっぱいアイをくれた、アイしてくれた。本当にありがとう。』

(違う、駄目だよ…わたしは私でしょ!!呪いと化してしまったけれど、わたしは私だ!!

行かないで、いかないで、私を独りにしないで_____)




独りじゃない。
もう、愛してくれる人たちを見つけたでしょ？

わたしは、ずっと私の中にいるから。
こんな穢らわしくて畏ろしいわたしじゃなくて
私のアイでいっぱいのわたしとして、生き続けるから。

だから、大丈夫。
ずっと、ずっと一緒に色んな事を色んな人を愛していこう？




『______っ』




(私には、そんな覚悟なんて無いのに。

嗚呼、過去の私のほうが強かった。私はこんなにも弱いんだ。わたしからの愛がとても暖かい。)



この溢れ出す【呪い(アイ)】を、一生離しはしない。
この呪いが、私を永遠に包み込んでくれる限り



私は、最強で無敵なんだ。

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