アイするカノジョ。【呪術廻戦】

＃６ - ５ ページ31

『……そうですね、それは人間が存在し続ける限りは必ず迎えるべき未来になると思います。』



まるで、ファンタジー映画のような現体験。
彼と彼女は、言葉通りに静寂の世界にふたりきり。

広がっている暗闇の中を、無数の燈が淡く彩っている。



悟「……お前、たまにわかってるように話すよな。」

『そうですか？でも、この世界を達観して見ている自覚はあります。』
悟「そうだな。お前と似てる奴を、俺は知ってる。」
『ふふっ、奇遇ですね。私も、私と似ている人に最近逢いましたよ。』



彼女と悟が、魂そのものが似ているとするならば
彼女と傑は、存在そのものが似ているのだろう。




悟「………でも、こんな見かけだけの世界でお前に出逢えて俺は良かった。」




『……』
悟「………んだよ、そんな顔して見んな。」




彼女は、まるで泣き出しそうに瞳を揺らがせる。


そんな彼女を見て、
自身の告白じみた台詞に少しだけ照れて視線を逸らした。

また、静寂がふたりを包み込む。



悟「あ"ー、なんか小っ恥ずかしいな。そうだ、歌でも歌えよ!!アイドルだろ!?」
『え、絶対に嫌です。私の歌は安くない。』
悟「はぁ!?随分、高価な経験してんだぞ!!」


『……というか、この変な魔法を私に見せちゃって良かったんですか？』



悟「………ぁ」
『悟くんは、本当に考え無しですね。』
悟「うっせ。考えるのは俺以外のあいつらの役割なんだよ」

『………そうなんですね。』



彼女はまた、彼との違いを思い知る。
そして、彼の瞳を真っ直ぐに見つめてこう言った。




『絶対に、失わないようにね。』





その言葉が、彼女の本心であると悟は理解した。

そして、彼女は自覚した。
ほんの小さな、その生まれた感情をはっきりと。

友情にも愛情にも似たようで異なるような、
名前などないこの不快的な感情をしっかりと自覚する。




悟「ああ、神にも誓える。」




普段の悟には似つかわしくないその真剣な表情は、
彼の持つ特別な瞳をより一層輝かせているようで。

それは、この広がる暗闇がそうさせているのか。
彼の隠されている強い想いが、そうさせているのか。


その眩さに、祓われてしまいそうだ。
彼女はまた、この世界の【不平等】さを知る。


長い夜の夢旅は終わり、
2人は飛び出してきた窓から日常に帰ってくる。

地に足をつけてしまえば、この関係はもう断ち切られる。









(…願わくば、違う世界で出逢えたなら。)

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