アイするカノジョ。【呪術廻戦】

＃６ - ２ ページ28

硝「Aー、夏油ー。イチャコラしてんなって天下の五条様がお怒りだぞー」

悟「お怒りしてねぇ!!」
硝「あと、2人で話してる内容が気になりすぎてさっきっからチラチラ外見てて気持ち悪いから戻ってきてー」
悟「はぁ!?チラチラ見てもねぇし!!」



タイミングが良いのか、悪いのか。



傑「ははっ、安心しなよ。ちょっとだけ、個人的なお話さ。」
悟「はぁ!!ってめ、傑…お前!!」
硝「どーどー。まだ終わってないんだから割って入んなって」
悟「…Aー!!」

『はい？』
悟「………まだなのかよ」



彼のむすくれたその面は、年相応に見えた。
私は、傑さんに視線を送る。



『傑さん。』
傑「………すまないね、我儘お坊ちゃまがお呼びだ。」




そう言って、また…貴方は困って笑う。
言葉を呑み込んでは、笑顔を見せる。

嗚呼、嫌な記憶が蘇る。
貴方はなんて、私にそっくりなんだろう。
まるで、私自身を反映させているようだ。

先を歩く傑さんの腕を、無意識に掴んだ。
その行動に、驚きながら私に視線を移す貴方。




『…………貴方を見てるとイライラします。』



そうだ、貴方を見ているとイライラする。
抑え込んでいた怒りが、ふつふつと込み上げてくる。




傑「………そうは言っても、Aの表情と言葉があまりに噛み合っていないよ。」




ほら、またそうやって困ったように笑う。
今の私がどんな顔をしているかなんて、私は知らなくていい。
どうせ、子どもが駄々をこねるような顔なんだろう。
傑さんは、そんな私の頭を優しく撫でて囁いた。



傑「………………君に、もっと早く出逢っていれば。」



私もそう思う。
だって、今からじゃもう遅いんだから。



『………………………ばか。』



それだけを言い残して、私は傑さんより先に部屋に戻る。





硝「…おーい、A？」
悟「どうしたんだよー、Aー？」


少し怒っているような、拗ねているような表情で2人の前を通り過ぎたA。その後を無意識に追いかける悟。

硝子は、何が何だかさっぱりの様子でベランダにいる傑に目を向けた。


その様子を理解して、煙草の箱だけを持って彼女はベランダに向かう。


硝「…ん。」
傑「……ああ、すまないね。」


煙草を渡して、ライターに火を灯す。
その炎で、彼は顔色を隠しているようだった。


硝「………私ら全員、どうしようもねぇな。」
傑「……ああ、本当に。」


2人が吐き出す煙が、この星空を覆う。







傑「どうしようも無いな。」

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