アイするカノジョ。【呪術廻戦】

＃４ - ５ ページ21

悟「わかってるって、お前はほんっとにそればっかだよな!!」



悟の術式にかかれば、被呪者ごと消滅させてしまうほうが効率が良く手っ取り早い。

だが、彼は夏油傑が示す呪術師の在り方が存外悪くないと思っていた。

いや、きっと考え無し故の"肯定"なのだろう。



悟「傑!!被呪者の捕縛よろしくぅ!!」



そう言って、悟は指先に呪力を凝縮させ始める。
その意図を汲んだのか、傑は無数のイカ型の呪霊を弾丸のようにまるでクナイのように打ち放つ。

傑「…まったく、私がいないと成り立たないじゃないか。」
悟「…当たり前だろ。」


傑が、打ち放ったイカ型の呪霊は被呪者の肌を避けて服だけを壁に固定する。動くことが不可能となった今、悟はすかさず指先を向ける。



悟「…なんたって、俺とお前。2人で____」



最後まで言葉が聞き取れることは無く、指先に凝縮した呪力が眩い光線となって呪霊目掛けて放たれた。





硝「やってんねぇ、私の出番なんて無いじゃん。」


傑「硝子、どうして来たんだい？」
悟「俺らに任せとけって言ったろ？」

硝「え、日下部さんに呼ばれたんだけど」

傑「…私たちが交戦してる所を見て来てくれたのか、はたまた硝子に押し付けたのか」
硝「…まぁー、どっちにしろ取り越し苦労だったみたいね」






その様子を、小型の蠅呪霊越しに彼女は視ている。





『…ちっ』


マイクで拾うか拾わないか、そんな程度の舌打ちを思わずしてしまう。

硝子以外の術式は、なんとなく…確信のない予想の範囲ではあるが把握出来たと思う。なかなかに魅力的な術式たちだ。



でも、予想以上に簡単に祓われた。


先程までの、愉悦が全て消え去ってしまった。
彼女は、作り笑顔の裏の胸中……負の感情が渦巻いて仕方がない。


ムカつく。

ムカつくムカつくムカつくムカつくムカつくムカつくムカつくムカつくムカつくムカつくムカつくムカつくムカつくムカつくムカつくムカつくムカつくムカつくムカつくムカつくムカつく…ムカつく。


予定不調和、まさに番狂わせ。
こんなの、誰にも許されない。





『……ねぇ、お前らさ』




会場の観客に向けてなのか
呪術師たちに向けてなのか

彼女は、怒りを含むような声色で低く言い放つ。







『もう、終わりだと思ってないよね。』







指を鳴らせば、会場は沸き上がる。
指を鳴らせば、呪霊の呪力が湧き上がる。



遠隔操作していた、蠅型の呪霊が【呪い】としての輪郭を露わにする。

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