#3 - 1 ページ11
『…おーい、悟さん?仮にも、私は天下のアイドルであり初対面の赤の他人ですけど』
少しずつ彼女の素が見え隠れしている事実に、少しばかり心が踊っている。そんな緩んだ笑みを隠すように、彼女を抱きしめて彼は表情を隠した。
悟「……悟くん」
『……は?』
悟「悟くんがいい。」
そして、彼女が発したあの言葉。
ドラマの台詞だろうが、
嘘でも真でもどっちだって良かった。
自分のことを、知りたいと言ってくれている事実がある。
それだけが、彼には嬉しかった。
『悟くんって呼べば離してくれますか?』
悟「……………離す」
『じゃあ、この2日間は悟くんって呼びますね。』
悟「………ん」
やけに素直に離してもらい、彼女たちは何事も無かったかのようにまた隣の座席に座り直す。
『…まぁ、私はあなたの瞳が気になるので知りたいって事自体は嘘じゃないですからね』
彼女は、同情したのだろうか。
彼の何かに触れて、少しだけ気を許したかのように…それを隠すように窓の外に視線を向けながら小さな声で言葉を生み出す。
悟「……本当に、俺の事知らねぇの?」
『当たり前でしょ。私はアイドル、一般人の事なんか知ってるわけがありませんから』
そう、彼女は『アイドル』。
そして、呪術師としての彼女とて彼の事を1ミリも知らない。
正しくは、知る術が無かったのだ。
(…だって私には、呪術界との繋がりなんて無い。)
彼女にあるのは、祖父が持っている呪詛師としての知識と知恵。そして、彼女だけの呪術や術式の解釈。
近代の呪術界の事なんか、これっぽっちも耳に入ってこないのだ。
(だから、今回はしくじったんだけどなぁ…。)
少しだけでも呪術界について情報を得ていれば、才能溢れる若人が護衛につくことも無かったのだろう。その後悔だけは、暫く拭えることは無い。
悟「……ん。」
『ん?』
悟は、無言で携帯電話を彼女に押し付けた。
突然の行動に、少しだけ困惑の色を見せる。
悟「…仕方ねぇからダチになってやる」
あまりに不器用な友達作り。
見目麗しい容姿や軽薄で我儘な態度から加味して、少しばかり面白可笑しくなってしまう。
『ははっ、急すぎますね』
彼女はあまりの可笑しさに、笑い出す。
孤独の記号を背負っていた者同士、魂の調和が合っているのかもしれない。
(………嗚呼、心地よすぎてあまりに不快だ。)
願わくば、違う世界で逢えたなら______。
- 金 運: ★☆☆☆☆
- 恋愛運: ★★★☆☆
- 健康運: ★★★★★
- 全体運: ★★★☆☆
ラッキーアイテム
革ベルト
ラッキーカラー
あずきいろ
ラッキーナンバー
8
221人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
エゴ信者。 - しゅーーさん» コメントありがとうございます。私もヴィラン系ヒロイン大好きなので、共感して頂けて嬉しい…!更新頑張ります、読んでくださり本当にありがとうございます。 (1月7日 18時) (レス) id: 665876339a (このIDを非表示/違反報告)
エゴ信者。 - B.E.E.L.E.さん» 再度コメントありがとうございます。見続けてくださる事実だけで感無量です。オリジナル編はご認識の通りクライマックスです、少し話の中身の肉付けを考えることに苦悩してますが第1幕、最後まで頑張っていきます! (1月7日 18時) (レス) id: 665876339a (このIDを非表示/違反報告)
しゅーー - 敵側系のヒロイン…マジでほんとに好きです!!!思わず読み込んでしまいました!笑 ここからの展開を楽しみにしてます!!これからも更新頑張ってください🫶 (1月7日 13時) (レス) @page37 id: 818f66b315 (このIDを非表示/違反報告)
B.E.E.L.E.(プロフ) - エゴ信者。さん» ご返信ありがとうございます!いよいよクライマックス展開ですかね?ダークヒロイン最高です、、パパ黒がどう重要なのか、、更新楽しみにしています! (1月7日 2時) (レス) id: cde15767ef (このIDを非表示/違反報告)
エゴ信者。 - B.E.E.L.E.さん» 返信遅くなりました。感想・評価等本当に励みになります。ありがとうございます。パパ黒ですね、この先の展開で大重要人物ですので引き続き見てくださると嬉しいです。頑張ります! (1月5日 8時) (レス) id: 665876339a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:エゴ信者。 | 作成日時:2024年1月3日 12時