【実況者】ゆうしゃさん、ゆうしゃさん。【キヨ】

■にーい。 ページ4

女子生徒「Aー、今日も来てるよー」



ホームルームが終わり、みんないそいそと帰りの準備をしている。
彼女はそんな様子を見ていた。

不意に名前を呼ばれ、振り返る。
彼女を呼んだ友達は、窓の外を指差していた。
それの先をたどっていくと、彼女が気付いたことに嬉しそうに手を振る彼。

嗚呼、また迎えに来たのかな、と帰る用意を始めた。



「キヨは暇人だな…。今日も何時もより早めだし」



ポキポキ、というSNSの音が鳴り、端末に目を向ける。

【迎えにきたぞー】

軽い書体に軽い言葉なのにマッチはしていなかった。
先程、彼を見つけたばかりである。
メッセージを無視して、友達に挨拶をして教室を出る。



「ふぅ、」




外に出て、息を吐く。

もうすぐ夏服から冬服へと変わる移行期間だというのに、夏特有の蒸し暑さは収まる気配がない。
満員電車に乗るよりかは、車の方がはるかに快適である。
そう考えれば、彼が迎えに来てくれたのはありがたいことなのかもしれない。

彼女は足を早めた。

校門が見えてくると、そこには軽自動車の前に立つ彼。
なにやら端末をいじっている。
駆け寄る彼女に気付けば、端末をポケットにしまった。



「キヨ！あろがとう、迎えにきてくれて」

「いーよ。つか外もあっついなー」









(彼らは注目の的)

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