アトリエに残された櫻 (ページ16)

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あぁーーーーーーーーーーーーーーーー

思いつかねぇ。

良いコンセプトだと思ったんだけどな。何でこんなに出てこなくなっちゃったんだろうな。もっと、色んな事を考えていたはずが、全部頭の中から抜けてしまった。

床に寝そべって天井を見つめているのだが、抜けたアイディア達は戻ってきてくれなかった。仕方ないから別の視点から考え直さないとな、と横向きに寝直す。

……………………。

いやぁ、物理的に視点を変えてもダメか。

諦めて体を起こすと硬い床のせいで「いてててて」と腰がやられる。サスサスしながら周りを見回して何か無いかなぁ、なんて探しているが、無いなぁ。ピンとくるものがねぇ。

外…………。出る気がない。今日はもう翔くんが来たみたいだから、鉢合わせになるとかは無いと思っているけど今はもう、会いたくないとかそういう事ではなく単に外へ出るのが面倒くさいという考えになってしまった。

だから、どうにか、今ここで、どうにかしたい！！

だあーーーーー！！！！！

考えるのを放棄して、綺麗になった部屋の真ん中に置かれたキャンバスを持ち上げて振り上げる。完全に頭がおかしくなっている。

でも、すぐに理性が働いて、意外と綺麗に張れたんだよな、と思い直して丁寧にイーゼルに掛け直す。すいませんでした。

何をすれば思いつくか。やっぱり刺激が無いと新しい考えが入ってこないよな。だとすれば、外に出るしかないか。はぁ。

何の目的も持たない、ほんっとーにふらふらするだけの散歩。

うーん、なんも持ってかなくても良いかなぁ？いやダメか、せめて鍵は持って行け。

携帯も持って行け、というツッコミはせずに本当に鍵だけ持ってアトリエを出てきた。もう昼も過ぎているので、日差しが暑い。

肌が焼けていくのをなんとなく感じながら、いつもの海沿いを歩いていく。俺の顔に当たる潮風に夏が来る気配が感じられて、そろそろ海に入っても冷たくないんだろうな、とぼんやり思う。

砂浜に入って、海の側まで歩いてきた。しゃがんで耳をすませば、ざざーざざーという海の美しい音が行ったり来たりしている。

俺はそのまま座り込むと、ずーっと先の水平線を見つめた。あの先に、何があるかも分からないその線は俺の中に眠る何かと届くはずもない夢のような青い青い空を確かな線で分けていた。