アトリエに残された桜 (ページ16)

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「ごめんなさい、いきなり質問責めにして」

あの後、「料理が冷めるから」と松本くんと相葉くんは一旦厨房へ戻った。そして俺らが食べ終わるタイミングを見計らってまた声をかけてくれた。

「改めまして、ここで働いてる松本潤と申します」

『あ、初めまして大野智です』

「松潤は翔ちゃんLOVEだからね～翔ちゃん泣かせるとすんごい怒るよ」

「ちょおまっ、いやいやそんな怒ったりなんてしないですから。この人だけですからね」

相葉くんのちょっとわかる気のする情報に対して松本くんは訂正した。

『皆仲良いんだね』

2人の楽しそうな雰囲気に嬉しそうな顔をしている翔くんに言った。

「松潤は大学の後輩なんだけど相葉くんは半年くらい前に出会ったんだ。てか、松潤に紹介してもらった」

『そうなんだ、なのにそんなに仲が良いなんてすごいね』

「だよね、皆でいるとすごい居心地が良い」

本当に幸せそうに、本当に楽しそうにそう微笑む翔くんはなんだか悲しそうに思えた。

「大野さんは何をされてる人なんですか？」

不意に松本くんが聞いてきた。すると、俺より早く翔くんが答えた。

「智くんはね、すごいんだよ！絵描いてるんだって」

「あぁ、そういえば昨日のアトリエはどうだった？」

「あのね、すごい作品がいっぱいですごく楽しかったよ！」

そういえば。昨日の感想を聞いていなかった気がする。楽しかった、とそう聞けて俺は安心した。

「へぇ、絵描きかぁ。カッコいいね、どんな作品？」

松本くんが興味深そうに聞いた。

『色々描いてるけど1番得意なのはボールペンで描くやつかな、昨日翔くんが見た中にはなかったかも』

「へぇ、見てみたいなぁ」

『松本くんはそういう絵とか好きなの？』

今度はこちらから質問をしてみると

「松潤でいいよ」

「え、相葉さんが言うことじゃなくない？まぁ、いいけどさ。うん、好きだよ。絵だけじゃなくて舞台観たりするのも好き」

お洒落な趣味をしてるなー。この人は骨の髄までイケメンなのかと思った。

そうして軽くお話していると他のお客さんから会計を頼まれたので2人は仕事に戻ることとなった。

「じゃあ、気が向いたらまたこの店に来てください」

最後に言い残して行く言葉すらイケメンを感じさせる対応でここはホストクラブかと思ってしまった。

知り合いがまた増えてますます通いたいと思った。