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自分を、仲間を。 ページ37

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「自然と、劣等感を慈悲に換算していた。このままだとハルを好きな男子達が報われないとかって言っておいて、実は、私は多分逃げていただけ。

隣で歩くだけで比べてしまう。太陽みたいに明るくて、どんな人にでも対等に接するハル。

雨の日みたいにジメジメしてて、どんな人にでも最初は差別のフィルターがかかってしまう私。

可愛いあんたと、ブッサイクな自分。

写真を見てはウンザリした。ハルといるときの視線を感じてはガッカリしてた。私とハルを比べる悪口を聞いては、死にそうなくらいに喉を裂きたくなった」

ハルが苦しそうにして、何度も息を呑み込んでいる。ぎゅ、と口を固く結んで、私の言葉に割り込まぬよう、しっかりと聞く姿勢をとっている。

今までのハルなら、ここでそんなことないって割り込んでいただろうに。

しっかりと、私の話を聞いてくれている。それが嬉しかったんだ。

いつも、私が聞く係だった。自分のことをあまり話せなかった。やっと、本音が言える。溜め込んでいた自分の醜い部分を、やっと、外に出せる。

それが、嬉しかったんだ。

「…自然と、自分でもハルに劣等感を感じてしまっていた。それにプラスして、鈍感で天然ときた。好きな人の好きな人は友達だった。友達と好きな人がくっつくために、好きな人に利用された。…いや、好きな人も必死だったんだよ、鈍感な友達を振り向かせるために」

でも、私はそれが辛かった。


…嗚呼。
なんだろう。辛かった、そう、辛かったんだ。口に出して、溢れ出てしまう。

自分の、今までの苦しみも、痛みも、全部。

「苦しかった、辛かった…!あんたみたいになりたかった!ハルみたいに、愛されるような人間になりたかった!モテたかった訳じゃない、ただ、好きな人に振り向いてもらえればそれで良かった…!

どんどん自分が汚くなっていく!あの子よりも私の方が賢いのに、私の方が皆の相談に乗っているのに、私の方が…!そんな酷い嫉妬がどんどん湧き出てきて、もう止められなかった…!こんなはずじゃ、なかったのに!

ハルと、もっと良い友達に、なれると思ってたのに…勝手に不満抱いて距離とってたのは私だった、全部、全部、私だった!

こんな自分が嫌いで。

でも自分を大事に抱えて。

心の中では自分が大好きなくせして、外面は自分を嫌ってた」




ただ醜く、汚いだけのSOS。

自分可愛さに自分を守る。→←信じろ。



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設定タグ:ハイキュー , HQ , 北信介   
作品ジャンル:恋愛
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はるか(プロフ) - この作品のことではないんですがブスの愛で方はもう公開されないんでしょうか? (2023年2月25日 13時) (レス) id: aa3e2fb3e0 (このIDを非表示/違反報告)
サラミ - なんかもう…本当に胸が痛かったです…なんでそんなに感動する文章かけるの…?という感じでした。辛いし、気持ちが凄くわかるし、頭がうああってなって(語彙力)気づいたら大号泣していました。本当に素敵なお話をありがとうございました。 (2023年1月18日 22時) (レス) @page50 id: 82adb6822c (このIDを非表示/違反報告)
小桜(プロフ) - 北さんもいい……! めちゃくちゃにやけました! (2022年10月23日 0時) (レス) @page50 id: 8b4a915ba2 (このIDを非表示/違反報告)
お布団 - 何回ワシをにやけさせんねん!! (2021年11月28日 10時) (レス) @page50 id: e77bb3532f (このIDを非表示/違反報告)
リンネ(プロフ) - 私、恋愛をした事なくて恋愛小説をどこか違う世界のものとして読んでました。でもこの小説は、感情移入してしまって雨宮の「自分が嫌い」という感情が私と重なって泣いてしまいました。あなたの言葉で救われた気がします。ありがとうございます。 (2021年7月5日 2時) (レス) id: 2b6f27f6e1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:お水。 | 作成日時:2019年8月16日 11時

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