愛され女子の、真友になりました。【HQ】

でも、それでも。 ページ3

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｢違う、違うんです！私、さっき！！取り返しが、つかないこと…｣

涙でグチャグチャになった顔。嗄れた声。
何も、気にならない程に、もう、限界だった。

｢でも、でも！それでも、私は…！ちゃんと、ちゃんとしようと……して、でも｣

嗚呼、言い訳ばかり並べて、情けない。でも、信じて欲しかった。ハルを傷付けて、逃げてしまった私を、見放さないで欲しかった。

あの日のように、ここで、屋上の扉の前で、また嘆くつもりだった私を、怒ってでも良い、呆れながらでも良い。

ただ、離れないで欲しかった。

正論パンチ食らうかな、言い訳すんなって言われるかな。

でも、それでも良いんです。

離れないで、いかないで…！

｢大丈夫や。俺は、ここにおるよ｣

その言葉に、目を、見開く。
消え入りそうな笑顔だった。
北先輩が、苦しげに眉を寄せ、八の字に垂らして、口角を上げて笑っていた。

その顔を見て、今、廊下が如何に静かか、私が今、どれだけ震えているかが分かった。

ここにいる。

そう言ってくれた北先輩の言葉は、きっと、ただの偶然だろうけど。

離れないでと願った私からしたら、安らぎを与える言葉でしかなくて。

嗚呼。

ごめんなさい、北先輩。私、北先輩の好きな人を傷付けてしまった。あなたにそんな悲しい顔をさせてしまった。

罪悪感が込み上げてきて、私の喉元まで迫る。
足先が何故か冷たくて、手の震えは止まらなかった。

そんな私の手に、北先輩の手のひらが重なる。温かい。嗚呼、温もりが、心を安定させる。

吹っ切ろうとしたんです。ハルのこと。
でも、吹っ切れなかったんです。

言い訳じみた言葉ばかり頭に浮かんで、自分の性格の悪さが脳を支配した。でも、目の前の北先輩の顔が、どうにも苦しげだったから。

自然と本音が、零れてしまった。

｢離れ、ないで…見放さ、ないで…｣

どんどん小さくなる声。でも、確かに私の本音だった。苦しげな北先輩を、更に苦しくさせてしまう程の、嫌な本音だったと思う。

でも、そばにいて欲しかった。
誰かの温もりが欲しかった。

｢大丈夫や。ここにおる、ここにおるから｣

子供をあやすように、重ねた手を摩る北先輩の手が、どうにも、心の拠り所になる。

前にいる、その人は確かに北先輩だった。

でも。

私の中では、あの人と重なってしまって。

つい、言って、しまったんだ。

呼んでしまったんだ。

好きな人の、名前を。


｢……角名くん｣

依存。→←助けて、なんて、馬鹿らしい。

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