助けて、なんて、馬鹿らしい。 ページ2
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階段。
一段一段が、高く、険しく感じた。
何も考えられずに、考えようともせずに、ただ、がむしゃらに階段を駆け上がる。
あの場所、あの場所に。
"何であんな、侑の悲しそうな顔、見なあかんの。何で、角名くんも治も、みんな、頑張っとるのに。
なんで、ハルは気付いてあげへんの。
なんでこんな、背負わなあかんの。"
あの日、泣き言を零したあの場所に。過去の私が、弱音を吐き出した、あの場所に。
それだけを考えていた。
息が詰まりそうな感覚など無視して。
誰にも見つからない、あの場所に。
最上階への階段を登りきり、只管、肩を上下させて息を整える。俯いた私には、自分の足元しか見れなくて。
過去最低の発言をした自分が、酷く滑稽で、惨めだった。
嗚呼、誰か、誰か…！
角名くん、北先輩、誰でも良い。誰か、誰か。
助けて…！
"ええよ。お前の捌け口なんて、いくらでもなってやるさかい、安心せえ。"
あの声が、聞きたくなった。
唐突に、あの声が、欲しくなった。
正論パンチで怒られるかな、でも、それでも良かったんだ。捌け口になって、なんて願った割に、何も吐いてこなかった私を。
何も言わず、撫でてくれるであろうあの温もりが、欲しくなった。
｢……雨宮？｣
俯いていた顔を、勢いよく上げる。
静かな校舎の中。
その人は静かに私の方へ手を伸ばしていて。
｢……きた、せんぱ｣
北先輩。そう言いたかった。でも呼吸が整わず、ショックと階段ダッシュで疲れきった私には、それは叶わなかった。
"分かっとる、分かっとるよ。支えられんかったな、すまんかった。もう、大丈夫やさかい。"
あの日、私の全てを、大丈夫、と言って笑ってくれた、北先輩が、目の前にいるのを見て。
感情が、溢れ出した。
｢きた、せんぱ…！私、私！どうしよ、先輩、私、今、さっき…！｣
伝えたい。伝えたいのに、言葉にならない。嗚呼、しっかりしてよ、私の口。あんたの口は、何のためにあるの？
ねえ、伝えたいんだよ。北先輩に、今あったこと、全部。この先輩ならきっと。
きっと、分かってくれる。
｢…落ち着き。ゆっくりでええ。また、頑張ったんやなあ｣
違うんです、北先輩。
私、頑張ったんじゃないんです。
頑張りたかったんです。
でも、頑張れなかったんです。
先程自分がどれだけのことを成してしまったかを自覚して、ほら、また、苦しくなる。
助けてください、北先輩。
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はるか(プロフ) - この作品のことではないんですがブスの愛で方はもう公開されないんでしょうか？ (2023年2月25日 13時) (
レス) id: aa3e2fb3e0 (このIDを非表示/違反報告)
サラミ - なんかもう…本当に胸が痛かったです…なんでそんなに感動する文章かけるの…？という感じでした。辛いし、気持ちが凄くわかるし、頭がうああってなって(語彙力)気づいたら大号泣していました。本当に素敵なお話をありがとうございました。 (2023年1月18日 22時) (レス) @page50 id: 82adb6822c (このIDを非表示/違反報告)
小桜(プロフ) - 北さんもいい……！ めちゃくちゃにやけました！ (2022年10月23日 0時) (レス) @page50 id: 8b4a915ba2 (このIDを非表示/違反報告)
お布団 - 何回ワシをにやけさせんねん！！ (2021年11月28日 10時) (レス) @page50 id: e77bb3532f (このIDを非表示/違反報告)
リンネ(プロフ) - 私、恋愛をした事なくて恋愛小説をどこか違う世界のものとして読んでました。でもこの小説は、感情移入してしまって雨宮の｢自分が嫌い｣という感情が私と重なって泣いてしまいました。あなたの言葉で救われた気がします。ありがとうございます。 (2021年7月5日 2時) (レス) id: 2b6f27f6e1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：お水。
| 作成日時：2019年8月16日 11時
