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怒りに唐辛子。 ページ9

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"角名のこと、諦めたん?"

頭の中で侑の声がこだまする。愛されガールめ、あとでしょっぴく。なんて我ながら恐ろしいことを考えながら、前髪をかき回した。


"――雨宮さんも大変だね。"

"雨宮さんって、嫌にならないの?親友があんなに愛されてて。普通ならうざったくない?"

"雨宮さんって、なんか、面白いね。"


「あー、もう!」

これだから嫌なんだ。
昔の記憶を掘り返されてどうしようもなくなる。綺麗に笑う君の姿が、脳裏に焦げ付いて離れない。

「うわ、ビックリした」

荒ぶってたから、多分気付かなかったんだ。まさか、君がすぐ近くにいたなんて。

「何してんの?雨宮さん」

「角名、くん」

あーあ。タイミング最悪。これが少女漫画だったら、きっと恋に落ちていたんだろうか。でも残念。…この角名倫太郎でさて、ハルのことが好きなんだから。

愛されって、怖いったらない。

「吹部の音出し、体育館から聞こえてたけど。大丈夫?」

「…あ、やばい」

角名くんが、いつもみたいに変な笑い方をして、腹を抱えてる。そんなにおもしろいか、私の顔は。

「えっ何、そんなに面白い?」

「うん、面白いよ、雨宮さんは。吹部の音出しのこと、嘘だし」

「え?え、あ」

そっか。今日はオフだからって昼に部長に言われたじゃんか。立て続けに練習しちゃったから、オフにするみたいな話になったって。

「なに、角名くん。嘘ついてそんなに楽しい?」

「そんな睨まないでよ。それと、前髪ぐしゃぐしゃ」

かき回した前髪に指を通され、すっと手ぐしで整えられる。

…は、

固まって、数秒。してやったり顔の角名くんに腹が立とうがなんだろうが、顔の熱が収まらない。んだけれども。

残念でした。私の顔は熱が上がろうがなんだろうが、思いっきり赤くはならないんだな、これが。

少し赤くなる程度で。

はね続ける心臓を無視して、寿命を縮めたクソイケメン顔にデコピンを食らわす。

「った…なんなのさ」

「ムカついた」

「うわ、即答かよ」

おでこを抑える角名くんに対して、一言残して立ち去ろうとした。…気になることは、今のうちに聞いとくのが一番かな。

「角名くんってさ、ハルのこと好きでしょ」

おでこを抑えたまま、目を丸くしてそのまま座り込んだ角名くん。

…あー、あ。

一番当たってほしくなかった予感が、あたった。



「いつから、気付いてたの?」


赤くなる頬と、震えた声は、まさに…恋する乙女。

どうしようもなくなるくらいには憎たらしい。→←正直者は馬鹿をみる。



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作品ジャンル:恋愛
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- 人間の感情が素晴らしく良く表現されている作品だと感じました。幸せになる人の裏に不幸になる人がいる世界を上手すぎるくらいに表現されていて、読んで感動しました🥹 (10月24日 18時) (レス) @page50 id: f137f47347 (このIDを非表示/違反報告)
フェアリー(プロフ) - なんというか・・・切ないですね。夢小説なのに夢を感じさせないところが好きです。ハルちゃんが誰かに愛されている裏で、雨宮ちゃんの心が抉られているって考えると居た堪れないっすねなんか (2023年3月23日 17時) (レス) @page50 id: ebc545326a (このIDを非表示/違反報告)
黒弧(プロフ) - バカ笑いと、何とかってやつで言いたいことがある。。北さんイケメン!?で、私はこうゆう女の子の逆ハーが雨宮(?)目線で見てまうからいっつも男主 (2022年9月29日 7時) (レス) @page32 id: 4b13e88e37 (このIDを非表示/違反報告)
ゆらゆな(プロフ) - 今まで愛され夢小説を見てきて私も作者さんと同様友達はどんなふうに思っているのか、不憫だなと現実にいたら私もきついかもです笑笑この小説を読んでいかに愛され小説が自分達だけの世界だったのかと思い知らされます、続きも全部読みました、とても感動しました! (2022年5月26日 21時) (レス) id: 047d519d35 (このIDを非表示/違反報告)
まくら - なんやろなぁ、小説特有の甘い感じじゃなくてちゃんと現実でのドロドロした、めんどくさい恋愛が書かれててほんまに凄いと思いました。続き、今から読ませていただきます。 (2022年4月27日 23時) (レス) @page50 id: c8a7cb4466 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:お水。 | 作成日時:2019年1月1日 0時

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