見上げた先にはサングラス。 ページ43
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角名side
唇を、噛む。
ポケットに手を突っ込んで、右手を、ズボンの
布で何かを拭うようにして、押し付ける。
まるで、雨宮さんを拒むように。
重なった唇を噛み。
繋がれた手を拭って。
それでも消えない、雨宮さんという存在を、
なんとか消そうとして。
"私の方が、上の立場であり、角名くんの
強力な協力者。"
"嫉妬したとしたら？"
"今日はごめん。
―――――じゃあね。"
罪悪感で、心が潰れそうで。
あんな顔をされたら。
いつも飄々としていて、笑うときはニヤニヤ
笑ったり、睨むときは目付きを悪くしたり。
本当の感情を表した顔を見たことがない、
とでも言いたくなるような、そんな錯覚を
させる雨宮さんの。
あの、悲しそうな顔は。
ギリギリで保っていた俺の心を。
重さ100トンのおもりで潰そうとしている
としか、思えない。
侑とハルがくっ付いたのが、どうしても
ショックで。
最後の悪あがき。
そのつもりで。
雨宮さんを、利用しようとしたのに。
どうやら、鬼は、鬼になりきれなかった
ようで。
｢……人を騙すって、こんなに苦しかったっけ｣
雨宮さんに相当な負担をかけるのは分かって
いた。
雨宮さんが壊れるかもしれないというのも、
全部、全部、分かっていた。
2年になって、同じ委員会になってから、
感じ始めた、鋭くも心地好い、雨宮さんからの
好意も。
2週間前くらいに変わった、俺を見る目も。
全部全部、分かっていた。
分かっていたから。
せめて、俺をどん底まで嫌って欲しいと。
どうせなら、俺をとことん鬼にしてくれと。
縋る思い、だったのに。
ハルは、今頃、侑とイチャイチャしてるんだ
ろうか。
ハルはそのまま、侑とくっ付くんだろうか。
俺はやっぱり、たった一人、ハッピーエンドを
迎えるための、たった一人には、なれなかった
のだろうか。
嗚呼。
雨宮さんの、痛いくらいの苦しみは。
傍にいればいるほど。
俺の心を刺す。
どうして私を利用するの。どうしてハルを
好きでいるの。どうしてそんなにも酷いことを
するの。
どうして、あなたはそんなにも醜いの。
そうやって、俺をナイフで刺し殺している
ような気がして。
居た堪れなくなって。
辛い顔は見たくなくて。
でも、ハルを諦めきれなくて。
ハルのことが、
好きで好きで好きで好きで好きで好きで
好きで好きで好きで好きで好きで好きで
どうしようも、なくて。
嗚呼、神様。
どうせなら俺を。
｢……殺してくれればいいのに｣
動き出した歯車は、もう止まらないほどに。→←イヤホンとヘッドホンだったらどっち派？
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夏 - 人間の感情が素晴らしく良く表現されている作品だと感じました。幸せになる人の裏に不幸になる人がいる世界を上手すぎるくらいに表現されていて、読んで感動しました🥹 (10月24日 18時) (
レス) @page50 id: f137f47347 (このIDを非表示/違反報告)
フェアリー(プロフ) - なんというか･･･切ないですね。夢小説なのに夢を感じさせないところが好きです。ハルちゃんが誰かに愛されている裏で、雨宮ちゃんの心が抉られているって考えると居た堪れないっすねなんか (2023年3月23日 17時) (レス) @page50 id: ebc545326a (このIDを非表示/違反報告)
黒弧(プロフ) - バカ笑いと、何とかってやつで言いたいことがある。。北さんイケメン！？で、私はこうゆう女の子の逆ハーが雨宮(？)目線で見てまうからいっつも男主 (2022年9月29日 7時) (レス) @page32 id: 4b13e88e37 (このIDを非表示/違反報告)
ゆらゆな(プロフ) - 今まで愛され夢小説を見てきて私も作者さんと同様友達はどんなふうに思っているのか、不憫だなと現実にいたら私もきついかもです笑笑この小説を読んでいかに愛され小説が自分達だけの世界だったのかと思い知らされます、続きも全部読みました、とても感動しました！ (2022年5月26日 21時) (レス) id: 047d519d35 (このIDを非表示/違反報告)
まくら - なんやろなぁ、小説特有の甘い感じじゃなくてちゃんと現実でのドロドロした、めんどくさい恋愛が書かれててほんまに凄いと思いました。続き、今から読ませていただきます。 (2022年4月27日 23時) (レス) @page50 id: c8a7cb4466 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：お水。
| 作成日時：2019年1月1日 0時
