検索窓
今日:16 hit、昨日:0 hit、合計:27,049 hit

保護者の睡魔24 ページ48

.


気にする義理はないなんて思いながらも

骸は琥珀の部屋の前まで来ていた。

自分は何をしてるんだ、と疑問を浮かべるが

手は勝手に動いてコンコンと扉をノックする。


「…夜城、くん?」


声をかけてみるが、反応がない。

ドアノブを回してみると、ガチャリ、と開いた。

念のため鍵はかけておくと言っていたのに。

骸は入りますよ、と言ってから部屋に侵入する。


「夜城くん…?夜城くん、どこですか…?」


うろうろと琥珀の部屋を探していると、

仕事の資料らしき無数の紙の中に

力なく横たえている琥珀の姿が見えて。

骸は慌てて彼女に駆け寄った。


「夜城くん!どうしたんです夜城くんっ!」


抱き起こして声をかけてみるものの、

琥珀は浅い息を繰り返すだけで返事がない。

何があったのか、と辺りを見回すと、

すぐ近くに倒れたコップと零れた水、そして薬。

その薬が入っていたであろう処方箋を手に取ると、

そこには見たこともない病名が記されていた。


「“アストラル投射病”…?何ですか、それ…」


モルモットだった経験をもつ骸は

そこらの人に比べたら医療の知識があるが、

アストラル投射病など聞いたこともない。

しかし、もしこれが原因だとしたら。

琥珀は今かなり危険な状態なのではないか。


「薬、飲ませたらいいんですか…?」


散らばった水や薬から考えて、

これを飲もうとした時に倒れたのだろう。

咄嗟にそう判断した骸はいつものように頭で

考えるよりも先に行動に移していた。

処方箋の中から薬を取り出して、

コップに残っていた水と共に口内に含んで。


「んっ…」


そのまま琥珀の唇に己のそれを合わせた。

微かに開いた隙間から舌を入れて、

琥珀の口内に無理やり薬を流し込む。

コクリ、と琥珀の喉が上下するのを見てから

口を離し、その場にストンと座り込んだ。


「…何、やってんですか…僕…」


薬を飲ませるにも、もっと他に方法があったはずだ。

でも、それを考えるより先に口移しを選んでいて。

口移しをすることに抵抗なんて全く感じていなくて。

行き着いた答えにどうしようもなく泣きたくなって。

涙が浮かんだ目元を服の袖で拭った、その時。


「………む、くろ…?」


苦しそうに咳き込みながら、

琥珀が目を覚ました。





(その澄んだ瞳に、また苦しくなって)

(抑えきれなくて泣き出してしまった)

(貴方は僕よりもずっと苦しいはずなのに)

(黙って、そっと僕を抱き締めた)


Continue…

.

生意気少女の電子器具25→←生意気少女の電子器具24



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.7/10 (36 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
36人がお気に入り
設定タグ:リボーン , 合作
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

紫亜(プロフ) - 格幻さん» 今回こそできました (2014年12月20日 19時) (レス) id: c9b8a5d62f (このIDを非表示/違反報告)
紫亜(プロフ) - 格幻さん» リクエストありがとうございます!描き終わりました!! (2014年12月16日 22時) (レス) id: c9b8a5d62f (このIDを非表示/違反報告)
星屑(プロフ) - 格幻さん» そう言って貰えると嬉しいです^^あ、黒猫さんのCOMMUページで話していたので、そちらの方で話し合いましょう^^ (2014年12月15日 23時) (レス) id: e1ebefcbbf (このIDを非表示/違反報告)
格幻 - 星屑さん» okです!ネタ提供とかありがたい(( (2014年12月15日 21時) (レス) id: d787b599d2 (このIDを非表示/違反報告)
星屑(プロフ) - 黒猫さん» じゃあ移動しますね^^ (2014年12月15日 21時) (レス) id: f6815e87f2 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:爽やか格闘家と強欲幻術師&黒猫 | 作者ホームページ:   
作成日時:2014年10月5日 13時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。