ヴァンパイアボーイ｡【ヒプマイ／男主】 (ページ4)

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匂いを頼りに辿り着いたのは、今までの廃ビルとは明らかに違う、もっとボロボロで薄暗い路地裏。

僅かだけど人の気配がしたので、恐る恐る入ってみる。

( うわぁ……血が飛び散ってる……おまけに荒れてるなぁ )

明らかについさっきここで一悶着ありましたって感じが容易に読み取れた。

暫く進んで行くにつれ、血の香りがどんどんと濃くなっていく。

それと同時に自分の喉の渇き……血への渇望も大きくなっていた。

( ……何処にいるかな……あ！)

少し先に、壁にもたれてかかっている人を発見した。

真っ白な髪の毛に、独特なアロハシャツを着た色白の男性。

この人だ、この人から凄くいい香りがする。

……すぐに飲みたいけど、今はそれどころじゃない。

駆け寄ってみれば、身体中あちこち傷だらけで頭からも血を流している。

まずは治療が必要なのは直ぐに分かった。

『 ……あの、大丈夫ですか……？』

声をかけてみたけど返事がなくて、自分の手を彼の胸にトンと当ててみれば僅かだけどドクドクと心臓音が伝わった。

大丈夫、この人は生きている。

けど、危険な状態には変わりないので早く助けないと。

( ……こんなに血を流していたら、出血多量で死ぬ可能性があるんだったっけ、人間は……っ急がなきゃ )

よしっと腕まくりをして、手を男性の傷のある箇所にかざしていく。

出血が止まり、みるみるうちに傷が閉じていった。

それを全ての患部に繰り返し、暫くすれば出血どころか傷痕も綺麗さっぱりなくなった。

( ……顔色も良くなったし、これで、大丈夫かな )

吸血鬼は人間の治癒スピードを驚異的にあげることができる。

病気とかは治せないけれど、相手が生きている限りどんな致命傷でも治せるのだ。

( ……人間は、結構脆いよね )

因みに吸血鬼である僕は怪我なんか一瞬で治るし、なんなら痛みとかも殆ど感じないのでかなり身体は頑丈といえよう。

まぁそれは置いておいて……彼をどうしようか。

怪我を治したから大丈夫だとは思うけど、まだ気を失っているみたいだし……このまま放っておくのも何かあったら大変だ。

どうすればと考えていたら……。

prrrrrrrr……

『！』

不意にスマホの着信音が、男性のズボンのポケットから響き渡る。

もしかしたら話せば彼を引き取ってくれるかもしれない。

『 ……よし』

彼のスマホを拝借し、恐る恐る通話ボタンを押した。

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