【sm】透けた文字の向こう側【WT】

にじゅう ページ20

『あ、スマイルくん』
「A先輩」

いつのまにか当たり前になった。

図書館で本の話をして、勉強を教えてもらう。そのお礼にポスターやらなんやらを手伝う。そんな放課後。

『スマイル字綺麗なんだね』
「…普通だと思いますけど」
『そう？結構綺麗じゃん？』

ノートに書いた字を見た先輩が、一つの字をまるで囲む。そして、綺麗！とコメントをつけた。

提出するのにとか、あいつらに何かつっこまれるとか色々頭をよぎったけど、嬉しいが勝って何もかもどうでも良くなる。

自分の持ち物に、先輩の綺麗な字が残されるのが嬉しい。

『そんなに私の字好きなの？』
「めっちゃ綺麗じゃないですか」
『そうかもだけど…明らかに嬉しそうだからさ』

スマイルくん面白いよねーと俺の気も知らないで嬉しそうな先輩。

先輩の字もすきだけど、考え方とか性格とか諸々含めて好みなんだよな。

そう頭に浮かんで、自分で驚く。俺、今、好みって言った？

「……」
『大丈夫？どうしたの？』
「い、や、別に。すみません」

好きって、こういうことなのか？

頭をよぎった一つの可能性に、自分で首を傾げる。今解いてる問題なんかよりもわからない。

あいつらに聞けば早いかもしれないけど、いじられるの間違いないだろうしなとぐるぐるしてしまう。

そんな思考だから、その後解いた問題は軒並み間違えた。

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