一難去って ページ42
次の日の早朝、俺は笑い転げていた。マイクも横でゲラゲラと笑っている。俺達の目の前で全身カシミアコーデのちょび髭を付けたマッ クスが微妙な面持ちで姿見を眺めていた。
『ひ、ぶっはは…似合ってるぜ、おっさん』
「あーっはっはっ…堪らんぜ」
「嬉しくもなんともねえなあ…」
荷物が届いた途端に箱から全部引っ張り出してまだ眠そうなマッ クスを引き摺り着替えさせたのだ。あまり声を出すとイベが起きてしまうのでそろそろ黙ろう。
「そんじゃ俊一には何とか言っといてくれな」
『おう』
軽い朝食を胃の中に詰め込んだマッ クスは家を出て行った。
マッ クスが出て行ってすぐイベが大あくびをかきながら起きてきた。気にせず朝食を食べているとキョロキョロ辺りを見回していた。
『マッ クスは野暮用で出掛けたさ』
「あ、ああ…そうか」
一瞬びっくりしてあははと笑ったイベは俺の向かい側に座って用意されていた朝食を食べ始めた。
「子分はどこに置いとけばいいんだ？」
『そうだな、取り敢えず適当なホテルにでも止まらせとけ。バラバラにな』
「オーケー」
ケープコッド振りに穏やかな朝を迎え気分はとても落ち着いている。
朝食を食べ終え借りている寝室まで戻り銃の手入れを始めた。
「明日には第一陣が付くぞ」
『了解』
「お前も命狙われてんじゃないのか？」
『十中八九狙われてるだろうな』
きっと楽には死なせてもらえないんだろう。俺もそう易々と捕まるようなタマじゃねえって事分かってるだろうからな。
「護衛は高くつくぜ」
『勘弁してくれ相棒なんだから半額にしろよ』
「おいおい勘弁するのはそっちだぜ」
弾を装填して試しに構える。流石に撃ちはしないが。それを取り出しやすい所に閉まって立ち上がった。そろそろ体も本調子を取り戻して来ている。
『自由の国だなんて笑わしてくれるよな』
「そうだな。自由だったら俺達もう少しゃまともに暮らしてたぜ」
ポケットに手を突っ込んで窓の外を眺める。思わず笑ってしまいたくなるほど平和な空間に俺らは隔絶されているような感覚に陥る。手を伸ばしても伸ばしても届かない自由と平和。
『…二兎追うものは一兎も得られず、ね』
「？」
『平和も自由も俺達には無縁って事よ』
「…笑えてくるな」
『笑い事で済んだら良かったのにな』
どことなくしんみりした空気が俺達を包んで閉じ込めた。
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ゆうな(プロフ) - 小鳥遊さん» わあ〜！そう言ってもらえて嬉しいです！！もっと知れ渡る様に私も精進しないとです！！ (2018年10月7日 23時) (
レス) id: b1153871a1 (このIDを非表示/違反報告)
小鳥遊 - もっといろんな人にこの作品の良さを知ってもらいたいですね！ (2018年10月7日 23時) (レス) id: b38db4a895 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうな(プロフ) - 喜助さん» ありがとうございます〜！！更新頑張りますね！ (2018年9月29日 19時) (レス) id: b1153871a1 (このIDを非表示/違反報告)
喜助 - 続きが気になります！内容も面白いです！ (2018年9月29日 11時) (レス) id: 462d6c0b05 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆうな | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org
作成日時：2018年9月24日 15時
