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1章9話 ミス・リード ページ10

「あ、すみませ……」


 3次試験会場への移動。飛行船。


(あの蝶々、やっぱり欲しかったわ……)


 なんて考えながら歩いていた所で私は、ドン、と大柄な人にぶつかる。

 私が口先だけの謝罪を口にしながら顔を上げると目線の先には、カタカタカタカタ、と小刻みに振動を続ける、あからさまに顔色が異常、姿形も異常な男が立っていた。

 私は思わずうわ、と言ってしまった後で、慌てて誤魔化すように考え事(をしているフリ)を始める。


「うゎっ……〜んと、8万1057から12万4476を……引くと……」

 自分でも何を言っているかよく分からない。しかも、答えはちゃんと分かるし“−4万3419”なんだけど。

 でも、人に向かって「うわっ」は流石に失礼だし、傷付くかもしれないからこの方が良い。……はず。


「……」


「……」


 それにしても、彼の全身に刺さっている針。どこかで見覚えがあると思えば、私の大親友(これは今決めた)の、イルミの能力の媒介ではないか。

 よく考えるとこの男、目に光も無いし涎垂れてるし。イルミが溺愛する弟であるキルアが試験に参加している事を見ても、これは間違いない。


「こいつ、イルミの操り人形ね……」


「……」


 イルミの念能力については未だに分からないことの方が多いけど、これを見るに針を刺せば刺すほど操作の自由度が高まるのではないか、と勝手に推測する。

 つまりこいつは、かなりイルミの意思を反映した操り人形である可能性が高い。

 気の毒ではあるが私にはどうにもならないし、別に助けたいとも思わないので放置だ。


(それよりも、サイミンチョウって闇オークションとかで買えるのかしら……)


 飛行船の廊下を再び歩き始めた私は、背後の針男がこちらをじっと見ていた事に、まるで気付いていなかった。

 カタカタという不気味な音のみ(・・)が響くその場に、本当の姿をしている者は誰1人として居なかった、という訳である。



 ちなみに私は、1度ミスリードし始めると止まらないタイプの秀才なのである――――。




*

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わっし - イルミとの絡みも過去編?も凄い好きです…!武器を自由に操れる…武器の威力も操れる…ってコト?! (1月3日 0時) (レス) @page43 id: bdc57886de (このIDを非表示/違反報告)
あめ。(プロフ) - Asaちゃんさん» コメントありがとうございます。イルミとの関係性は自分でも気に入っている部分なので、そこを肯定して頂けて、すごく嬉しく思います……!! この気持ちでこれから先、更新頑張ります! (2021年5月29日 1時) (レス) id: d0d59a8df2 (このIDを非表示/違反報告)
Asaちゃん(プロフ) - やばい、イルミとの絡み方がすごく好き!更新楽しみにしています^ - ^ (2021年5月28日 7時) (レス) id: 245967808e (このIDを非表示/違反報告)
あめ。(プロフ) - ダチュラさん» そう言って頂けてとても嬉しいです……!!調子に乗って、連日更新してしまいました笑。閲覧、暖かいコメント、ありがとうございます! (2021年5月28日 1時) (レス) id: d0d59a8df2 (このIDを非表示/違反報告)
ダチュラ - 初見です!!続き気になる……!!更新待っています!! (2021年5月27日 22時) (レス) id: d99cf3ac4a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あめ。 | 作成日時:2021年5月22日 0時

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