2章4話 気紛れな救いの声 ページ33
｢最初に会場に麻痺系のガス撒かれて、吸わないようにしてたら手榴弾くらったの。だからこんな会合、出なくて良いって私は言ったのに……｣
｢フーン｣
たまに、三下組織に有能な人材が埋もれ、勿体無い使われ方をしている事がある。そういう人材を見極め引き抜いてこい、とAは指示を受けたらしい。
その結果がこれでは、とんだギャンブルだな──イルミはそう思った。
｢イルミ君｣
｢なに？｣
担いでいた彼女に声をかけられ、イルミは少し意外に思った。
(オレの名前ちゃんと知ってたんだ)
｢あなたは、将来やりたい事とか、なりたい事って無いの？｣
｢？｣
｢私ね、お父さんとお母さんの事は好きだし、尊敬できる部分もあるの。……でもね、ふたりみたいな大人にはなりたくないわ｣
背後から襲いかかってきた人物にナイフを投げ刺しながら言われるので、説得力の欠片も無かった。
何なら、色々な意味で大人しくして欲しい。視界の端でぶらぶら動く足が、いつ千切れるか分かったものでは無いし。
｢このまま従って生きてたら、きっとふたりみたいな大人になるじゃない？ 私、それがすごく嫌｣
イルミは思った。そう思うならまず、ちぎれかけの自分の足を気に掛けるべきだ、と。
イルミの記憶の中で、彼女の父親がほぼちぎれた腕を振り回している姿が、先程からチラチラと頭を過ぎる。わりと印象的だったその姿と、今のA。……似ている、素質しか感じない。
｢へー。変わってるね｣
｢やっぱり、私がおかしいのかしら……｣
(そりゃあね)
彼女がおかしい、という事実は、絶対に自分の中で覆らない。
しかしイルミは、彼女の悲しそうな声音を聞いてか、それとも今後の関係的な利益を考えてか、Aに対して、彼女を肯定するような言葉をかけた。
それは、数年経ってキルアという弟が誕生した後では、恐らく言わなかったはずで、
イルミという人間を知っていれば、そうでなくとも、彼が言うには相応しくなく、しかし、どこか彼らしい言葉でもあった。
｢まぁ、お前は好きにすれば良いんじゃない？｣
*
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わっし - イルミとの絡みも過去編?も凄い好きです…！武器を自由に操れる…武器の威力も操れる…ってコト？！ (1月3日 0時) (
レス) @page43 id: bdc57886de (このIDを非表示/違反報告)
あめ。(プロフ) - Asaちゃんさん» コメントありがとうございます。イルミとの関係性は自分でも気に入っている部分なので、そこを肯定して頂けて、すごく嬉しく思います……！！ この気持ちでこれから先、更新頑張ります！ (2021年5月29日 1時) (レス) id: d0d59a8df2 (このIDを非表示/違反報告)
Asaちゃん(プロフ) - やばい、イルミとの絡み方がすごく好き！更新楽しみにしています^ - ^ (2021年5月28日 7時) (レス) id: 245967808e (このIDを非表示/違反報告)
あめ。(プロフ) - ダチュラさん» そう言って頂けてとても嬉しいです……！！調子に乗って、連日更新してしまいました笑。閲覧、暖かいコメント、ありがとうございます！ (2021年5月28日 1時) (レス) id: d0d59a8df2 (このIDを非表示/違反報告)
ダチュラ - 初見です!！続き気になる……！！更新待っています！！ (2021年5月27日 22時) (レス) id: d99cf3ac4a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あめ。 | 作成日時：2021年5月22日 0時
