2章2話 ちぎれかけ少女 ページ31
女が惨めったらしく、命乞いをする。男が悲痛な声音で、家族だけは生かすよう訴える。
襲撃者達の狙いはAであるようで、逃げ惑う参加者達を捕まえてはAの居場所を聞き、役に立たないと判断した者から次々殺していた。
勿論、裏社会の会合なので応戦できる者も居るようだが、ぱっと見ても襲撃者側の死体はそう多くない。
イルミは未だ激しい銃撃戦の音をさほど気にせず、
(弱いなー。こんなのに占拠されちゃう会合に、なんでベリーアー家がわざわざ出たんだろ)
この惨状の主な原因は、警備体制の甘さと、会合に参加した者達のレベルの低さだ。
例えば、もしもベリーアー家本体を襲撃していれば彼らは、
｢家の周りを飛び回る不快な虫｣
くらいの、軽い認識でプチッ、と潰されていただろう。所詮はそんな程度だ。
いくら女優稽古に重心を置いて育てられた娘とはいえ、このレベルの襲撃者なら片手で全滅させられそうなものだが。
擦り傷を負って大泣きしている子供の横を抜け、会場の端の扉を開ける。
“staff only”
と書かれたその扉の先にもやはり死体が多かったが、今までと違い、その比率は襲撃者7、参加者3と、襲撃者の死体の方が圧倒的に多くなったいた。
床に飛び散る血痕の中、ひとつだけ異質なものを発見したイルミは、その血痕を辿って再び歩き始める。大量の出血があるにも関わらず、その血を流した死体がどこにも無いのだ。
血痕を辿り歩いた先に突き当たったのは、“楽屋D”と書かれた小さな個室。イルミがそのドアノブを捻った瞬間、ぷすり、と手のひらに鈍い痛みが走った。
(……びっくりした……麻痺薬か)
ドアノブを捻ると、毒針が出る仕掛けになっている。どうやら、楽屋の扉に誰かが、そういうトラップを仕掛けたらしい。
まだ毒耐性は完全ではないが、この程度の麻痺薬なら、影響はほぼ出ない。
ドアノブトラップを無視してそのまま扉を開くと、今度はすぐに、小さな影がイルミに飛びかかってきた。
｢！｣
女の子供だ。反射的にその首を引っ掴み、とっとと白い床に引き倒す。案外簡単に倒れた相手をよく見ると、どうやら、左足がちぎれかけているようだった。
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わっし - イルミとの絡みも過去編?も凄い好きです…！武器を自由に操れる…武器の威力も操れる…ってコト？！ (1月3日 0時) (
レス) @page43 id: bdc57886de (このIDを非表示/違反報告)
あめ。(プロフ) - Asaちゃんさん» コメントありがとうございます。イルミとの関係性は自分でも気に入っている部分なので、そこを肯定して頂けて、すごく嬉しく思います……！！ この気持ちでこれから先、更新頑張ります！ (2021年5月29日 1時) (レス) id: d0d59a8df2 (このIDを非表示/違反報告)
Asaちゃん(プロフ) - やばい、イルミとの絡み方がすごく好き！更新楽しみにしています^ - ^ (2021年5月28日 7時) (レス) id: 245967808e (このIDを非表示/違反報告)
あめ。(プロフ) - ダチュラさん» そう言って頂けてとても嬉しいです……！！調子に乗って、連日更新してしまいました笑。閲覧、暖かいコメント、ありがとうございます！ (2021年5月28日 1時) (レス) id: d0d59a8df2 (このIDを非表示/違反報告)
ダチュラ - 初見です!！続き気になる……！！更新待っています！！ (2021年5月27日 22時) (レス) id: d99cf3ac4a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あめ。 | 作成日時：2021年5月22日 0時
