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2章9話 愚者のアドリブ ページ38

―――そもそも、ヒソカは別に、演劇を楽しみにここに来た訳では無いのである。


「“あの子達を見つけて、お金を取り返しましょう? そのうち、あなたの家族やアタシの友達についても、何か分かることがあるかもしれないわ”」


「“……そうだよね、ありがとう、ユーカ。私、アナタの事ずっと信じてる”」


 (シラ)がそう言った時、役者(ターナ)は、にんまりと笑みを深めた。


「そうだわ、シラ。アタシ達であの3人に復讐をしましょうよ」


「“……え?”」


 “(シラ)”は、困惑したように“(ユーカ)”を見た。“役者(ターナ)”は、顔を醜く歪めたまま言葉を続ける。


「だって、先に仕掛けてきたのはあの3人じゃない。この世界、やられたらやり返さないと損ばかりよ?」


 Aに恥をかかせるために、ターナがわざと、台本にない台詞を言ったのだ。

 舞台関係者達の隠しきれない動揺や、ターナ自体の様子から、少し優れた者なら、誰だって安易にその事が想像できる。

 事実、台本でこのシーンは、ユーカがシラを慰め、また2人で前を向く流れしか入っていない。

 かと言って、ここでAからセリフを切れば、多くの観客の目には、


“Aのせいで舞台が中断したのだ”


 と、映ることになる。

 しかし、ここは映画の撮影現場では無く、大勢の観衆が居る、大きな舞台だ。

 もちろん、「はいカット! このシーンやり直しね!」、なんて事にはならないし、Aが「貴女セリフ違うじゃない、どういう事?」、なんて聞くわけもない。

 “シラ”は、まっすぐ“ユーカ”を見つめ口を開いた。


「“ユーカ……ごめんなさい”」

2章10話 戻った少女→←2章8話 シラ・ストロー



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わっし - イルミとの絡みも過去編?も凄い好きです…!武器を自由に操れる…武器の威力も操れる…ってコト?! (1月3日 0時) (レス) @page43 id: bdc57886de (このIDを非表示/違反報告)
あめ。(プロフ) - Asaちゃんさん» コメントありがとうございます。イルミとの関係性は自分でも気に入っている部分なので、そこを肯定して頂けて、すごく嬉しく思います……!! この気持ちでこれから先、更新頑張ります! (2021年5月29日 1時) (レス) id: d0d59a8df2 (このIDを非表示/違反報告)
Asaちゃん(プロフ) - やばい、イルミとの絡み方がすごく好き!更新楽しみにしています^ - ^ (2021年5月28日 7時) (レス) id: 245967808e (このIDを非表示/違反報告)
あめ。(プロフ) - ダチュラさん» そう言って頂けてとても嬉しいです……!!調子に乗って、連日更新してしまいました笑。閲覧、暖かいコメント、ありがとうございます! (2021年5月28日 1時) (レス) id: d0d59a8df2 (このIDを非表示/違反報告)
ダチュラ - 初見です!!続き気になる……!!更新待っています!! (2021年5月27日 22時) (レス) id: d99cf3ac4a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あめ。 | 作成日時:2021年5月22日 0時

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