暗殺者執事 〔 Ｈ×Ｈ 〕

暗殺者執事、屈辱 ページ7

遂にゾルディックの私有地に入ってしまったA。


山を登るイルミの後ろを歩き地面を踏みしめるごとに

Aはひとつひとつ邪念や思い出を捨てていった。



「A、苦労かけてごめんね」

「A、私は大丈夫だからいい人を見つけてデートでもしてきなさい」



そう言ってくれる母の期待に応えられない自分。

治療費や入院費を稼ぐ為に自ら闇の世界へ入っていった。


幸い冬山キャンプだの夏のビーチ監視員ボランティアでしていてサバイバル能力は高かった。

アーチェリーの腕前はフィールドコンテストで毎年優勝する腕前。


真面目に生きていた。

だが病院費用の工面が出来ず、強制退院の話をされアンダーグラウンドファイターになった。


それでも手術費用が稼げずにいた時の高額な仕事。

“ 殺し ” だ。


綺麗事を言ったってどうにもならない。

ならいっそ、もっと闇へ、もっと暗闇へ墜ちるまで。


依頼遂行すれば達成金２億。

自分が死んだ場合の掛け金５億。


どっちに転んでも手術費用と術後の入院費、

そして母の当面の暮らしは保障されるのだ。





「今更だけど、殺しに抵抗とかある？」


『…もう…割り切ってるつもりですけど…』


「ふーん、度胸あるね。 見ず知らずで別に憎い相手でもないのに殺せちゃうんだ？」



伝説の暗殺一家と呼ばれてる貴方達に言われたくない、

それがAの率直な答えだったが心に留めておけた。



『９９％不可能なミッションなんですよね？

桁違いな実力の差でしょうし…具体的に殺せるイメージわかないので』


「ま、そうなんだけど。 本気で殺す気でやらないとAの精神が持たないよ」


『…どういう意味ですか』


「いずれ、ってかすぐ分かるよ、たぶん」



この時はイルミに上手くはぐらかされた。

だがミルキの無茶ぶりな命令に屈辱、羞恥心でAはどんどん変化していったのだ。





初日は当然暗殺失敗。

０時にミルキから下された命令は

「ミッションタイムはコスプレして。 ほらよ、これ」

そう言って渡されたのはミニスカートな警官だの軍隊の制服シリーズ。


そしてAは本気でミルキを仕留めに掛かり、

屈辱な日々に終止符を打つべく毎日暗殺に励む。


何せ遠慮ないミルキの命令は遂に下着にまで及んだのだ。

一般女性なら耐えられる筈がない。

セクハラで訴えて一発アウト案件。






『ぶっ殺――――す!!!』



Aにとっては死活問題。

ミルキにとってはゲーム感覚だが。


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