暗殺者執事 〔 Ｈ×Ｈ 〕

暗殺者執事の孤独 ページ13

「おい、笑顔で飯食わせろよな」


『スマイル付きなんて命令されてないから』


「メイドカフェの店員みたいに食わせろよ！」


『メイドカフェなんて行った事ないし、分かんないわよ!!!』


「俺だってねーよ!! ｺﾌｰ!!」


『何自慢してんのよ!! 行けばいいでしょ!!!』


「外出るの面倒くせーんだよ!! ｺﾌｰ!!」



喋り出せば言い合いになるミルキとA。

だが無口なタイプが多いゾルディック家の中でミルキはAにとって貴重な存在。


この家に仕える執事に至っては余程の用や伝言がない限りAに近寄っても来ない。

ゾルディック家は仕事で不在でない場合、揃って食べるがAは自室で一人で食べる。

日の終わりにイルミが使う武器を聞きにくる時だけが唯一、普通のAで喋れる時間。


孤独であった。

昨夜のイルミとの会話も口付けも夢だったんじゃないかと思う程、今は目も合わさない。



「おい、手、止まってるぞ」


『はいはい、赤ちゃんお口、あーん』


「赤ちゃんじゃねーよ!! ご主人様って言えよな!! ｺﾌｰ!!」


『お口から食べ物飛ばしちゃって、汚いでちゅねー』



ミルキを挑発するA。

これも任務の内、すぐ感情的になるのを自制させる訓練らしい。



「赤ちゃんプレイも悪くねーな」


『変態、調子乗ってそのまま地獄に召されてしまえ』


「素に戻るなよなっ!! 良い感じだったのに…ｺﾌｰ!!」



怒らせるつもりがミルキを喜ばせてしまうとは。

ミルキの趣味範囲が広くてAは少々引いた。



「何だかんだミルキが一番早く結婚しそうねぇ、そう思わない？ カルトちゃん？」


「は…はい、お母様。 (ブタ君の嫁とか想像つかないし、孤独死確定でいいのに)」


「イルミは仕事魔でしょう？ カルトちゃんはまだ子供だし…ねぇ、アナタ？」


「そうだな。早く跡継ぎとなる孫の顔を見たいものだがな」


「でも中々ゾルディック家に相応しい相手が居ないのも困りものねぇ…。 ね、カルトちゃん？」


「…はい、お母様。 (僕はA姉様が良いんだけどな…ブタ君から何とか奪えないかな？)」






イルミが上手い事全く無反応であった為まだ誰も気付かなかった。

イルミとAがゆっくりとではあるが心を寄せ合っている事に。

Aに至っては身分の差の違いがあり過ぎる事を嫌という程に思い知っている。



『(こんな冷えっ冷えの夫婦が存在してたら驚きなんですけど…)』



相変わらずズレの激しいゾルディック一家。


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